走行距離税のデメリット・懸念まとめ「ふざけるな」「地方経済を破壊?」

内閣府の審議会、税制調査会において「自動車走行距離課税」新設の案が浮上し、懸念やデメリットが多数指摘されています。

この記事では、走行距離税が実際に新設された場合にどのようなデメリット・懸念が生じうるのかご紹介します。

目次

走行距離税の地方民にとってのデメリット

走行距離課税の地方民にとってのデメリット

まず走行距離税の地方民にとってのデメリットをご紹介します。

生活に必要な走行距離は田舎であるほど長い

走行距離課税の地方民にとってのデメリット①生活に必要な走行距離は田舎であるほど長い

走行距離課税の地方民にとってのデメリットの1つは、生活に必要な走行距離は田舎であるほど長く不平等である点です。

なぜなら、都会であればスーパーまで行くのに1kmも走らずに到着することもよくありますが、田舎であれば最寄りのスーパーへ行くために10km走ることもザラ。

自家用車の世帯あたり平均年間走行距離
  • 東京都…2,000km未満
  • 大阪府…3,000km
  • その他…6,000〜10,000km

各都道府県で距離あたりの税額が均一だとしたら、東京・大阪以外に住む人の税負担は東京・大阪の2倍〜5倍となります。

都道府県ごとに距離あたりの税額が調整されれば負担を平等にできるでしょうが、現実的には難しいでしょう。

同じ生活を営むために、地方に住む人ほど税負担が増えることは不平等といえます。

地方で自動車は生活必需品です。「走行距離課税」を考えるなら、自動車を保有しているが走行距離が短い(使用頻度が少ない)方に課税すべき。なぜなら、自動車を保有する財力があるけど必要性がないといえるからだ。 そうすれば、趣味や投資目的で自動車を購入した方からの税収が増え、地方で生活する方からの課税は負担が少なくなる。

yahoonewsコメントより引用

いくらくらい負担が増えるの?と不安な人は「走行距離課税は1kmあたりいくら?」の記事もご覧ください。

公共交通機関が少なく走行税から逃れられない

走行距離課税の地方民にとってのデメリット②公共交通機関が少なく走行税から逃れられない

2つ目の走行距離課税の地方民にとってのデメリットは「公共交通機関が少なく、走行税から逃れられない」ことです。

なぜなら、公共交通機関を使おうにも「バスは午前午後それぞれ1本ずつ」なんてことも珍しくないからです。

公共交通機関が充実した都会の方であれば「金食い虫の車は贅沢品だ」と車のない生活を送ることで走行距離課税から逃れることもできますが、地方ではそうはいきません。

都会では税逃れできても、地方ではできない。不平等であり地方民にとってのデメリットといえます。

走行距離税に対する懸念

走行距離課税に対する懸念

走行距離課税実施に対する懸念をまとめてご紹介します。

物流コストが上がる

走行距離課税に対する懸念1)物流コストが上がる

2022年現在、原油価格の高騰・円安を背景にガソリン代が高騰し、物流コストが上がっています。

走行距離課税をいますぐ実施したら、物流コストのさらなる上昇は避けられません。

単に配送料が上がるだけでなく、「時間指定配送」などの便利なサービスが失われるのではないかという懸念の声もあります。

最短ルートを走ろうとし事故が増加

走行距離課税に対する懸念2)最短ルートを走ろうとし事故が増加

走行距離課税により事故が増加する懸念があります。

なぜなら、走行距離税を少しでも減らすため、安全に走れるルートではなく最短ルートの裏道を選択するドライバーが増え、細い路地が渋滞し、事故が起こりやすくなると考えられるからです。

ただでさえ景気悪化・円安・物価高のスタグフレーションにより生活が苦しくなっている今、安全よりお金を選択するドライバーは間違いなく増えるでしょう。

自動車が売れなくなり景気が悪化する

走行距離課税に対する懸念3)自動車が売れなくなり景気が悪化する

走行距離課税により自動車が売れづらくなると考えられます。

「EVにすればガソリン代・ガソリン税を払わなくて良い」と考えた購入検討者は一定の割合で購入を見送るでしょう。走行距離課税がガソリン車にも適用となれば、ガソリン車の購入も一定の割合で見送られるでしょう。

さらに「走行距離を確実に記録し、納税額の算出根拠を出力する装置」が自動車に取り付けられる可能性も考えられます。

装置の追加により自動車購入のコストが跳ね上がり、自動車が売れなくなることが懸念されます。

自動車だけでなく、輸送されるすべての物品の値段が上がることも忘れてはいけません。

重量税との二重課税に対する不満爆発

走行距離課税に対する懸念4)重量税との二重課税に対する不満爆発

走行距離課税は自動車重量税と二重課税になっているのではないかという懸念があります。

そもそも自動車重量税とは「自動車の重量が重いほど道路に与えるダメージが大きいため、補修にかかる税を多めに負担しましょう」という考えの税です。

一方で走行距離課税は「EVの重量は重たい。ゆえに道路に与えるダメージが大きいため、補修にかかる税を負担しましょう」という考えの税です。

自動車重量税と走行距離課税の両方が「道路に対するダメージを直すための負担」に基づく課税であるため、二重課税ではないかという不満が爆発する懸念があります。

ガソリン税との二重課税

走行距離課税に対する懸念5)ガソリン税との二重課税

走行距離課税とガソリン税も二重課税ではないかという懸念があります。

ガソリン税は購入するガソリン1Lあたりに課せられる税金です。車の燃費は一定(例えば10km/L)なので、ガソリン1Lは距離と言い換えることもできます。

一方で走行距離課税は走行距離に応じて課せられる税金です。すでに走行距離税が実施されているニュージーランドでは1kmあたり5円〜が課せられています。

どちらも走行距離に応じた課税だと見なすことができ、二重課税ではないかという懸念が上がっています。

車の購入時や2年に一度の車検時での自動車重量税、年度初めに排気量に応じて課税される自動車税、それから、車の燃料となるガソリンにはガソリン税、石油石炭税、石油ガス税などの石油諸税には消費税がそのまま掛けられることになり、いわゆる「二重課税」となっている。ガソリンの約半分は税金である。地方でも、大都市並みに公共交通機関が整備されているなら車を持つ人はいないだろう。地方では自家用車は生活に欠かせない。政府税調はまさしく地方虐めとしか言いようがない。所得を見ても、平均水準からして地方の方が絶対的に少ない。税調は自分達の仕事だからと言ってしまえばそれまでだが、政府は、税調が存在するなら、税金の使途を監視し、逆に税金を減らす政府の諮問機関も併せて作るべきではないか。あまりにも不公平だ。

yahoonewsコメントより引用

負のスパイラルに陥る

走行距離課税に対する懸念6)負のスパイラルに陥る

走行距離課税を実施すると、税収減となり、負のスパイラルに陥る可能性があります。

そもそも走行距離課税が議論され始めたきっかけは「自動車関連税の税収減」により「道路のメンテナンス費用」が賄えなくなることでした。

ところが走行距離課税が行われることで都心部では自動車の買い控えが起こり、半ば公共交通機関のようなカーシェア市場が拡大し、トータルの税収が減少し、負のスパイラルに陥る可能性があります。

走行距離課税のデメリット・懸念まとめ

走行距離課税のデメリット・懸念は以下の通りでした。

走行距離課税のデメリット
  • 生活に必要な走行距離は田舎であるほど長い
  • 公共交通機関が少なく走行税から逃れられない
走行距離課税の懸念
  • 物流コストが上がる
  • 事故が増加
  • 景気が悪化する
  • 二重課税の不満爆発(重量税)
  • 二重課税の不満爆発(ガソリン税)
  • 税収減のスパイラルへ

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いくらくらい負担が増えるの?と不安な人は「走行距離課税は1kmあたりいくら?」の記事もご覧ください。

「まさかバイクは走行距離課税の対象じゃないでしょうね・・・」嫌な予感は的中するかもしれません。こちらの記事に考察をまとめました。ぜひ読んでみてください。

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