コーヒー×サトウキビストローでできること
KITCHEN BROTHERSを利用頂いている飲食店の方々からの反響も徐々に高まってきていると感じますが、サトウキビストローの取り扱いを始められたきっかけは何だったのでしょうか?
私は元々銀行員だったのですが、本質的に社会に求められることをやりたいという想いが以前から強くあり、そんな中で友人からの縁もあってサトウキビストローと出会いました。その時までは環境問題には正直あまり意識を向けておらず、「日本の環境対策は進んでいる」という漠然とした認識しかもっていなかったんです。しかし、その出会いをきっかけに少し調べてみると、日本はプラスチックゴミのリサイクル率が80%以上とうたわれていますが、その6割以上はプラスチックゴミを燃やして熱エネルギーとして回収する、サーマルリサイクルに頼っているというのが実態だと知りました。これは世界基準で言うとリサイクルに含まれません。
欧米に比べると、そういった認識レベルから遅れている現状を目の当たりにして、本質的にこれからの循環型社会の仕組みづくりに役立てるアクションをしたいと思い、サトウキビストローの取り扱いを始めました。
株式会社4Nature 代表 平間亮太さん
現在は主にコーヒー業界での使用に注力されていますが、最近では紙ストローや何度でも使用できるステンレスストローも出てきています。サトウキビストローでは具体的にどういった事を目指しているのでしょうか?
4Natureとして実現したいことは、循環システムの構築なんです。現在取り扱っているサトウキビストローは、サトウキビの砂糖精製後の副産物を用いたアップサイクル商品(廃物をそのまま再利用するのではなく、商品としての価値を高めるような加工を行った商品)で100%生分解性です。更に、サトウキビストローの販売だけで終わらず、お店で使用されたストローを回収し堆肥化する所までのサイクルの構築を目指して研究開発を行っています。
その中でコーヒーカルチャーと出会ったのは、馬喰町にあるBERTH COFFEEさんとの出会いがきっかけでした。「コーヒーは農作物なので、環境とは切っても切れない関係なんです」と言っていただいたことで、スペシャルティコーヒーの文脈と私たちが実現しようとしていることの親和性を感じることができました。その出会いから自然な流れでコーヒー業界の方々とのつながりも増え、今回の「TOKYO 100cafe Project」の構想もあたためてきました。
「TOKYO 100cafe Project」とは
「TOKYO 100cafe Project」とは、どういった取り組みでしょうか?
東京のコーヒーロースターさんやコーヒーショップさんと一緒に、徐々にプラスチックストローの利用を減らしていく事を目的としたプロジェクトです。あくまでプラスチックからの切り替えが目的のため、紙やステンレスといったストローも一緒にご提案していますが、生分解性のサトウキビストローを選んで頂いたお店については、私たちが使用後のストローを後日回収に周り、持ち帰って堆肥化するという循環システムの構築を目指しています。“100cafe”としたのは、100店舗つなげたいという意味もありますが、100年先まで続けられる新しいシステムをつくりたいという意味も込めて名づけました。
お店がストローを回収することは、単純にリサイクルといった側面以外にも、お店とお客さんのコミュニケーションを生むという効果も期待できます。 オペレーションやコストの面からいきなり全てのプラスチックを切り替えることは難しいかもしれませんが、いろんな方のご協力を得て少しずつ取り入れて頂ける店舗も増えてきています。
お店がゴミを減らす最初の取り組みとして
- BERTH COFFEE -
BERTH COFFEE カフェマネージャー 岩井俊樹さん
サトウキビストローの使用を始められた背景を教えてください。
元々私自身がアウトドアを好きなこともあり、環境問題にも先進的なパタゴニアの人たちと接する機会が多かったんです。そういった影響もありちょうどお店のゴミを減らしたいなと思っていた時に、友人から平間さんを紹介してもらいました。ゴミを減らすと言っても何から始めればいいのかわからなかったので、最初のきっかけとしてサトウキビストローの使用を始めました。
お客様の反応はいかがでしょうか?
こういった取り組みを始めたことで、テイクアウトのカップを使用しないお客様や、常連さんの中ではマイボトルを持って来られる方も増えました。あとは「このストローは何でできてるの?」みたいな感じで聞いてくれたりするので、スタッフの意識も高まってきていますね。
その他、サトウキビストローの使用で変化したことはありますか?
ストローの回収で平間さんとは定期的にお会いするのですが、今まで知らなかった環境問題に関するトピックスや話題を教えてもらえています。そういった実際にアクションを起こしてる人たちとの繋がりが増えたことで、これまで漠然としていた環境に対する理解がより深まったと感じています。
循環を生むストーリーが感じられるプロダクト
- ONIBUS COFFEE -
ONIBUS COFFEE オーナー 坂尾篤さん
サトウキビストローの使用を始められた背景を教えてください。
平間さんと出会う以前から、私たちも生分解性のストローを探していました。ただ、販売して終わりという従来の処理と変わらないものが多かったんです。その点、平間さんのサトウキビストローは回収して堆肥化までできるという循環のストーリーがあったので、そこに共感して使い始めました。
お客様の反応はいかがでしょうか?
お客様の反応はすごくいいですね。特に海外のお客様には、単純にプラスチックじゃない素材を使っていることが好評です。また、お客様以外の同業者の人たちとも、その場で「これなに?」って会話になったりしていますね。
ONIBUS COFFEEさんではステンレスストローとの併用もされていますが、それはなぜでしょうか?
リユースとリサイクル以外にも、そもそもゴミを出さないということも大事だと考えています。なので、削減できるものは削減しつつ、循環できるものは循環させるという両方のマインドを持つようにしています。特に個人の飲食店としてはコストが上がる部分もあるので、ずっと使い続けられる素材と併用することで将来的にも継続できていくようになるのではないかと思います。
「環境問題と重く捉えることなく、お店の状況やスタンス・ブランディングを踏まえて紙ストローやステンレスストロー・弊社サトウキビストローなど、よりよい選択をして頂ければと思います。何よりも大切なことは"不要なモノは使わないこと"。その視点が、ストローの切り替えを考える上での一助にもなると思っています。」と平間さん。
一杯のおいしいコーヒーから生まれる循環のストーリー。そんなやさしい循環型社会に、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。