普通ならありえない組み合わせを商品にしてみよう。そこから広がるバリエーションと可能性。
東京べーぐるべーぐりさんはどのようなお店でしょうか?
私たちは、カラダが喜ぶものを美味しく楽しくみんなに食べてほしい。そんな想いで、しっとりもっちり食感の、素材にこだわったべーぐるをお店で製造し販売しています。
食べ物がカラダを作るという基本的なことを真剣に考え、“自分の子供たちにずっと食べさせ続けたいものか”を基準に素材を厳選しています。
誰かとこの美味しさを共有したい”そう思ってもらえるべーぐるであると嬉しいですね!なので、お店で何を買おうか迷われているお客さまには、誰とどこでお召し上がりになりますか?とお聞きしています。その答えに合わせておすすめする商品も変わってくるからです。
お店のイートインスペースでは、農薬・化学肥料不使用の野菜で作るサラダや日本茶、添加物不使用のソフトクリーム、べーぐる生地のフレンチトーストなどもご用意していますよ。
べーぐるを作ろうと思ったきっかけは何でしょうか?
海外で生活する機会があったのですが、違う文化のなかで生活することで日本の良さに改めて気付かされたのです。“日本をもっと良くしたい”そんな漠然とした想いを抱えて帰国し、日本のためにできることは何だろうと考えました。
そこで、農業に焦点を当てたところ、農薬を使う現在の農法では自然破壊をしてしまい、未来の子供たちに良い環境を残せないことに気付きました。また、業として成り立たせるためには相応の販路が必要となり、2次、3次産業部分も必要であることがわかりました。
そこでまずは、強い販路を作る意味で、良い土壌を作るとされるイネ科の食物を使って何かできないか、と考えるようになりました。そこで着目したのがベーグルでした。美味しくて健康になれる、ヘルシーといったイメージもそうですが、みんなが美味しく食べて健康でいられるもの、という農薬や化学肥料を使わない、循環型の有機農業のコンセプトにもマッチしたものだったからです。
しかも、当時はまだまだベーグルもそれほどメジャーではありませんでしたので、今から挑戦するならこれだ、という思いでべーぐるを独学で作り始めました。
きっかけは日本を良くしたいという想い。シンプルで、まっすぐです。べーぐるのこだわりのポイントを教えてください。
素材にはとことんこだわっています。すべて自身が食べて美味しく、カラダにとって良い、と感じたものだけを使っています。例えば、小麦粉は北海道産、お砂糖も北海道産のてんさい糖を使用しています。
塩は沖縄の命の塩と呼ばれる「ぬちまーす」を使用しています。特に塩は、実際に作る工程を見てから決めました。ぬちまーすは世界で初の特許製法で、通常はにがりとして出てしまうミネラルを瞬時に結晶化しているので、海水の成分を全てそのまま含んでいます。沖縄の海水のみを原料とし、輸入塩や添加物は一切使用されていない塩です。
また、私たちは焼くことにもこだわっています。遠赤外線の輻射熱により生地の中に水分を閉じ込めてもっちりしっとりしたべーぐるを焼き上げます。私たちのべーぐるは、一般的なベーグルの固くてボソボソするイメージとは全く違うので、べーぐるをお召し上がりいただいたお客様から「ベーグルの概念が変わった」とよく言われます。
もっちりしっとり。今までに食べたベーグルにはない感覚です。そもそも、パンとベーグルは何が違うのでしょう?
ベーグルはパンと違い、基本的にはバターや牛乳、卵を使いません。ただ、カナダのモントリオベーグルは卵を使いますし、国や作る人によって使われる素材も様々です。
基本的な材料で作られたベーグルは、パンに比べ、脂質・糖質が低いのでヘルシーだと言われています。ただ、主に小麦粉を使用しているので、カロリーは残念ながらパンとあまり変わりません(笑)
ですが、パンより腹もちも良いですし、もちもちむぎゅむぎゅとしたもっちり食感で満足感もあります。パンでもベーグルでもない“べーぐる”です。
ヘルシーという言葉に女性は弱そうですね・・。やはりべーぐるは女性に人気ですか?
そうですね。比較的女性は多いですが、意外にも男性の人気もありますよ。年齢層もとても幅広いと思います。
学校帰りの小学生が次の日の朝ごはんに買っていくこともありますし、幼稚園のママ友同士でお子様を連れて来てくださることもあります。
ご年配の方にはこしあんがとても好評で、お求めになる前に、普通のアンパンより固いですよとお伝えするのですが、「普通のアンパンではなく、これが良い!」と仰ってくださいます。
あんこも派手な甘さではなく、控えめな甘さなので後味がとても良いです。もちろん、添加物も入っていません。
べーぐるの種類も豊富ですよね。なんといっても味のバリエーションが斬新です!
まず、プレーンは小麦が本来もつ品種の特性をそのまま活かした二種類をご用意しています。
一つが「キタノカオリ」、もう一つが「春よ恋」。プレーン以外には、命の塩、季節の野菜カレー、あふれるダブルチョコ、こしあん。珍しいものだと、おかかしょうゆ、カンポット生ペッパー、黒ゴマ高野豆腐、有機大根味噌、八ヶ岳ルバーブなどがあります。
きな粉生地のべーぐるやあふれるダブルチョコも人気です。あふれるダブルチョコは温めると中に入っているたっぷりのチョコレートがとろっと溶けてさらに美味しいですよ。こしあんは男性とご年配の方に人気ですね。
甘いもの以外ですと、断トツで季節の野菜カレーが人気です。有機野菜がゴロゴロ入っています。おかかしょうゆは好みが分かれますが、好きな人はそればっかり買っていきます(笑)
こんなに味のバリエーションを考えるのは大変ですよね。どのようにして考えられているのですか?
100人が100人全員が美味しいと思うような味付けは難しいですが、これまで想像したこともなかった組み合わせでも、こんなに美味しいのか、というギャップを楽しんでいただけたらいいのかなと思います。
あとは、東京べーぐる、という名前に象徴されるのですが、東京でべーぐるを作ったら、とか日本の特徴ってなんだろう と考えたときに“和洋折衷”がまず頭に浮かびました。生活・言葉・仕組みなども全てそうだと思うんですが、洋の東西を問わず、いろいろな良いものをうまく取り入れる。
だから、普通ならありえない組み合わせでも先入観にとらわれず商品にしてみようといろいろ試した結果、現在のバリエーションが生まれました。
師匠的なベーカリーとの絡みや一般的なパン屋さんでのパン製造経験がないニュートラルな私たちだからこそ、こういうメニューを提案できるのだと思います。さまざまな味と味の組み合わせからオリジナルの美味しさを見つけるのは楽しいですよ。