鎌倉にも「量り売り」の文化を
今回、このお店のオープンに至ったのはなぜでしょうか?
最初は事務所や自社で取り扱うグラウラーのショールームにしようと場所を探していたのですが、ふと考えた時に、そもそも重さを量って物を売るというお店自体が少ないように感じたんです。それだったら自分で量り売りのお店を始めて、自社のグラウラーだけじゃなく、量り売り自体の文化を広めたいと思いました。
海外では、スーパーでもコーヒー豆やお惣菜、洗剤などを量り売りしているところがたくさんありますし、DrinkTanksを輸入しているアメリカのオレゴンやポートランドも、自分で容器を持ってきてビールを持って帰ったりするのが普通なんです。それを日本でもやりたかったのが大きいですね。それで気が付いたら酒屋になっていました(笑)
株式会社サントレーディングジャパン 代表、VANAVASA BEER+GALLEY オーナー 井伊 乃士さん
グラウラーに入れて持ち帰りできるタップリスト。クラフトビールの他にもコンブチャ等も持ち帰りができ、地元の方に喜ばれている。
たしかに、この鎌倉でも量り売りのお店はあまり見かけませんね。
今回、更にギャラリーを併設したのはなぜでしょうか?
以前、海外のアパレルメーカーに勤めていたのですが、その時からこだわったモノづくりに興味がありました。そして、独立して更にいろんな人や商品と出会う中で、そういったモノを実際に展示できる場所をつくりたいなと思っていたんです。なので、自社の商品だけでなく他のブランドさんにもショールームとして使ってもらう事を考えた結果ギャラリーになりました。
ここではビールを飲みながらゆっくり見てもらえるので、インポートの商品以外にもアートやコレクションなどいろんなモノを紹介できればと思っています。
2019年12月に行われた、1500体もの一円玉サイズフィギュアを展示した時の様子。コレクターの1 ¥en Toysさんが10年以上かけて集めた代物。
こだわりのあるモノを紹介できる場所としてギャラリーにされたのですね。
本当は自分の物販店でもいいかなと思っていたんですが、ずっと同じものを置いているよりも、どんどん循環させてお客さんが飽きないようにした方が喜んでもらえると思ったんです。地域の人たちがここで何かやりたいって言ってくれることもあるので、そうやってワークショップをやったりするとまた人も来てくれるので、ギャラリーにして良かったのかなと思っています。
店名「VANAVASA」はインドなどで使われていたサンスクリット語で「自然に生きる」。もともとサーフィンやスケートボードなど、自然のなかでスポーツをするのが好きな井伊さんは、肩肘はらない自然な生き方を表現しつつ、量り売りも自然にしてもらうようにしたいとのこと。
ビールのラインナップは、どのように選ばれているのでしょうか?
やはりグラウラーとも縁が深いので、アメリカのオレゴン州やカナダのブリティッシュコロンビアのビールを中心に置いています。
基本的には自分が飲んで美味しいと思ったものをメインにしていて、サワーやラガー、エールももちろん好きなんですが、最近はしっかり苦みがあってホップを感じられるようなIPAビールが好きですね。
ただ、新しいビールやブリュワリーさんも常に出ているので、ラインナップはどんどん変えていく予定です。ギャラリーと同じで、いろんなものを紹介して持って帰ってもらいたいと思っています。
クラフトビールの他にも、子供が飲めるラムネ等のソフトドリンクも用意されている。
最後に、今後はどんな展開を考えられているのでしょうか?
この辺りで、少しでも量り売りを知ってもらうきっかけになれば嬉しいですね。昔、子供が近所の豆腐屋さんへ買いに行ってたように、このお店でもクラフトビールをそういう風にしたいなと思っています。それと、家族で来てもらってお父さんたちが1杯飲んでいる間に、子供たちも楽しめるような工夫をしていけたらいいなぁと考えているところです。
暖かくなってきたら海が近いので、子供たちが海で拾ってきたプラスチックを使ってアートワークと展示をやる予定です。作るだけじゃなくて、自分の作品が飾られる体験も子供たちにしてもらいたいですね。そういう風に楽しんでもらいながら鎌倉の自然を感じてもらえたらいいと思っています。