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FEATURE

つながりが生まれる場所、東向島珈琲店。

墨田区・東向島で13年前にお店をスタートさせた「東向島珈琲店」
あたたかみのある白色の壁に、落ち着いた色味の木材が天井・柱などにあしらわれた心安らぐ造りです。

コーヒーをはじめ、サンドイッチやスイーツは何度でも食べたくなる美味しさ。
その物の背景が見えるよう、自分で作ったものをお客様に直接届けることを大事にしています。

おしゃべりを楽しんだり、読書を楽しんだり、それぞれが好きなことをして過ごせる空間がありついつい長居してしまう。そのためか、常連さんもとても多い。

“自分が自分でいられる空間をつくりたい”という思いでつくられた東向島珈琲店がどのようにして愛されてやまない場所になったのか、オーナー・井奈波さんにお話をお聞きしました。

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ハワイでみつけた、第一歩。

 

カフェを始めるきっかけは何だったのですか?

 

きっかけは、私が前職のホテルマンを辞め1ヶ月ほど滞在していたハワイにありました。当時コンドミニアムに住んでいたので基本は自炊。外食することも多くなり、朝はカフェを使うことが増えました。

ハワイのカフェでは店員さんとお客さんがすごく親密で、人と人が通じ合っているような雰囲気でした。おじいちゃんとおばあちゃんが語らっていたり、店員さんとお客さんが和気あいあいと話していたり。他にも新聞を読みながら自分の時間をゆっくり過ごすおじさんもいて、のんびりとしたその風景と開放感溢れる天候が相まってすごく良かったんです。

ホテルマンは、お客さんとの間に隔たりを置いてサービスをするような感じが個人的にはしていたので、そのカフェの雰囲気がとても新鮮で刺激的でした。そして、私もこんな風に自分が自分でいられる空間をつくる仕事がしたい、と日本へ帰国後カフェで働くことを決意したんです。

 

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ハワイのカフェで体験したような、誰もが自分らしくいられる空間をつくりたかったのですね。
帰国後はどこで働かれたのですか?

 

神田の須田町にある高山珈琲というコーヒー専門店です。コーヒーが美味しすぎて衝撃を受け、すぐに修行させていただきました。高山珈琲ではコーヒーとサンドイッチを学び、もう1店舗、高山珈琲のオーナーが経営するお店で店長をしていたときは、スイーツを学びました。

 

 

私が本当にやりたかったことだから、苦労は買ってでる。

 

「手作り」にこだわっているとのことでしたが、それはなぜでしょう?

 

私がやりたかったことは、自分で作ったものを「はい、どうぞ。」と直接お客様に届けることだったんです。誰が作ったものなのか、それはどんなものなのか、何も見えてこない物が増えてきているような気がしていました。私はそうでないものを提供したい、そうなると手作りしかなかったんです。移り変わる時代のなかでも、普遍的にいつでもいいなと思える物を提供するお店にしたいなと思ってます。

 

具体的にはどのようなものを手作りされているのですか?

 

ドレッシング、マヨネーズ、レアチーズケーキ、サンドイッチにつける粒マスタードも最近作っています。あとは、手作りのガランティーヌという鶏肉の加工肉をパンに挟んだりして提供しています。
もちろん、コーヒーは一杯ずつ落としていますし、他のドリンクも丁寧に作っていますよ。

 

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Sample detail自家製ガランティーヌサンド。

 

 

調味料まで手作りされているのですね!
手作りとなると既製品よりも苦労される点が多いと思うのですが、いかがでしょうか?

 

それぞれ賞味期限も短いので、それを踏まえて適切なルーティーンで作ったり、手作りは苦労することしかないです。でもそれが手作りすることだと思います。

最初にもお伝えしたように“自分で作ったものを直接届けたい”という思いがあるので、その苦労は買ってでます。それが当たり前だと思ってるから苦労だとは感じていないです。そもそも、私がそうしたいからやっていることですからね。

 

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Sample detail蜂蜜の甘さと赤ワインビネガーのさわやかな酸味が相まって、甘酸っぱいドレッシング。

 

 

旅するレアチーズケーキ

 

東向島珈琲店さんが提供するレアチーズケーキは、ふんわりと軽いのにチーズの濃厚な味わいを楽しめる美味しさだとメディアでも取り上げられていて有名ですよね。

 

もともとお店を始めたときのメニューにスイーツはありませんでした。サンドイッチ・フレンチトースト・コーヒー・ドリンクのみです。「甘いものはないの?」という地元のお客様の声をきっかけに作ったのが、レアチーズケーキです。

お店で正式にメニューとして出し始めたら、すごく美味しいって皆さん言ってくださって、それが口コミで広がったりメディアでも取り上げていただいたりという感じですね。光栄なことです。
実は、台湾のカフェでもこのレアチーズケーキを販売しているんですよ。

 

Sample detail見た目はまるでアイスのようなレアチーズケーキ( ナツハゼのソース )

 

 

台湾ですか?!

 

台湾で街づくりをしている会社さんとのご縁がきっかけです。その会社さんが富錦街で3店舗カフェを経営していて、そこに佇むカフェで出しています。 最初はコラボレーションメニューとして、ポップアップでやらせていただいただけなのですが、とても好評だったのでレギュラーメニューにしたいということになりました。うちのお店で作って、輸送してというのだと金銭的にも衛生的にも難しかったので、直接レシピと作り方を現地の方にお伝えし、忠実に再現していただいています。
他にも群馬県のスキー場や、石川県の輪島にあるカフェでも取り扱ってもらっているんです。

 

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東向島珈琲店の味が、国内にとどまらず海外にまで伝わっていきますね。

 

私は「旅するレアチーズケーキ」と言っているのですが、レアチーズケーキがいろんなところに届くことにより、“東向島珈琲店”を知ってもらい最終的にお店に足を運んでくれたらいいなという思いがあります。

それこそ間接的でも墨田区に貢献できたらいいですし、地方や海外ともつながりをもてることが嬉しいです。 海外でレアチーズケーキを取り扱ってもらうことができて、本当にラッキーでした。他の国でもできたらいいなと思うので挑戦し続けたいです。いろんなことにチャレンジしていると大変なことも多いですが、結局楽しいが勝ってしまうんです。

 

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“自分が作ったものを直接届けたい”という想いでつくったレアチーズケーキだからこそ、自分のお店以外で販売や製造を任せるのはとても勇気がいることなのではないでしょうか?

 

そうですね。私と相手の間に絆や信頼関係があることは大前提です。
1対1の関係性も大事だと思うのですが、信頼する共通の友人たちがいることでより安心感があり、それが信頼感にもつながってきます。また、売り上げを上げたいから取り扱いたいというように、数字だけを目的としたようなお話はお断りするかもしれません。

長い目で見たときに幸せが広がっていく感じがいいんです。売り上げなどの数字のように瞬発的に結果がでるものは影響力としては大きいかもしれないけど、価値観を下げてしまうのではないのかなという心配もあります。こだわりというか芯の部分を大切にしていると、自分の考え方や根本が似ている人と自然につながっていけるんです。

 

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考え方や想いの部分がつながっていくことを、井奈波さんは何よりも大切にされているのですね。

 

レアチーズケーキの上にかけるソースも仕入れた果物をお店で加工しているのですが、こちらも生産者さんとのつながりを大切にしています。一緒にお仕事した方に、〇〇さんという方がこういう美味しいものを作っているよ、と紹介していただけたらそれを使います。

例えば、愛媛県の大三島と仕事させていただいたときは、紅芯キウイという芯が赤いキウイを使ったソースを作ったり、石川県に仕事で行ったときはお店の常連さんたちを引き連れて、ナツハゼという和製ブルーベリーと言われる果物を採りに行き、それをソースにしましたよ。

 

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その物の背景を知ると、ありがたみや味わいをじっくりと感じながら食べることができるので、美味しさが何倍にも膨らみますね。
レアチーズケーキのように、ファンになってもらえるような商品を生み出す秘訣はありますか?

 

料理はもともと好きでしたね。あとは、美味しいものを食べるのが好きです。だからお店では、自分の美味しいと思うものを提供しているという感じですね。自分勝手ですいません(笑) 美味しいものを美味しいまま食べてもらうために一生懸命作ってます。
生産者さんやその商品の背景が見えるものだから、信用してもらっているのかもしれません。

 

 

人と人がつながっていく場所、東向島珈琲店。

 

ご来店されるお客様はどのような方が多いですか?

 

お客様の8割は地元の方だと思います。あとはメディアをご覧になられた方が多いですね。

このお店がオープンして一番初めのお客様は、地元の70歳を超えるおじいさま。カウンター席にどかっと座り込み「お前はどんな了見でここにお店をつくっているんだ」と怒鳴られました。その方は墨田区にも顔が利くような地元でとてもお偉い方だったんですね。私は正々堂々と「墨田区の皆さんに喜ばれるようなお店にしようと思ったので、この場所につくりました。」と生まれ育った墨田区に恩返ししたいという想いをありのまま伝えたら、そっか気に入った毎日来るって仰ってくださいました(笑)

それから本当に毎日いらっしゃってコーヒーを飲まれていました。倒れられるまで毎日。その方が応援してくださり、良くしてくださったおかげで、多くの地元の方にもご来店いただけるようになりとても感謝しています。

 

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地元・墨田区を想うまっすぐな気持ちが伝わったのですね。
お店づくりで大切にされていることはありますか?

 

「時間・空間・仲間」この3つが当店を通じてより良くなっていきますように、というのがフィロソフィーです。他店で過ごす1時間と当店で過ごす1時間は、平等に与えられた1時間。そういうときに、こっちのほうがいいなって思ってもらえたら嬉しいですね。常連さんとはプラベートでもよく遊んだりするんですが、サークルみたいですよ。これがフィロソフィーの“仲間”というフレーズに落としこまれています。

 

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常連の方々と和気あいあいとお話しされている様子から、井奈波さんが愛されていることを強く感じました。お客様とスタッフではなく、人と人として関係性を築かれているのですね。

 

何か周りの人たちにプラスになったらいいなと思います。だから、私とお客様だけではなくお客様同士でも、きっと話が合うんじゃないかとか、この人とこの人仕事になるんじゃないかとかをずっと考えたりしていますね。

 

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お客様のお仕事のことまで?

 

仕事っていうのはどちらにもメリットがあることで、一方的に奪い取るようなものだとは思っていません。なので、そういう状況をつくろうと思って、一緒にいかない?というように声をかけます。でも、人間なので合う・合わないはもちろんあります。いかに自然につながれるかが大事だなと思うので、そういった場づくりはよくしています。100人くらい集まる忘年会とかね。

 

Sample detail取材時、常連さんが携わるお仕事の展示を催していた。展示の場所としてお店を提供することもあるそう。

 

 

東向島珈琲店では、自然とたくさんのつながりが生まれていくのですね。
ありのままの自分でいられる時間や空間が恋しくて、またお店へと足を運んでしまう皆さんの気持ちがとてもよく分かります。

 

僕の周りにはつながりを楽しんでいる人ばかり。いろんな人とつながっていくことが好きな人とか、つながりが欲しいという人は僕を利用してくれるといいなと思います。その一歩が踏み出せるかで人生を少しずつ自分たちで変えていけるような気がするから。

 

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東向島珈琲店のサムネイル

東向島珈琲店

2006年東京墨田区で創業。シグニチャースイーツであるレアチーズは国内外で高い評価を受けている。 2017年にTime Out Tokyo主催「LOVE TOKYO AWARD」にて部門最高賞である「BEST CAFE」受賞。

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