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FEATURE

働く人も”ファンになる”飲食店の作り方(後編)

東京都内を中心に、イタリアン、居酒屋、カフェなど9店舗を運営するダルマプロダクション。今回はその代表を務める古賀さんから、スタッフがイキイキと働く飲食店のあり方についてお話をお聞きしています。前編では、ダルマプロダクションと創業にいたるまでの古賀さんの考え方を中心にご紹介しました。後編では、実際にスタッフとどのように向き合っているのかについてお届けしたいと思います。
前編はこちらから

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”おもしろいことをやりたい”人が集まる店

 

ダルマプロダクションのスタッフの方って、陽気でおもしろい方が多いですよね?採用活動はどのようにされているのでしょうか?

 

紹介もありますが、採用活動もしています。社員に関しては全員僕が一回だけ面接しています。でも、最初の面接で落とすことはほぼないですね。

というのも、うちに興味を持って入ってくる時点である程度、おもしろいことしたい、自分がやれることを試したい、商売の勉強したい、みたいなタイプの人に絞られてくるんです。

 

たしかに、おもしろいことやりたいという人は多そうなイメージがあります。なぜでしょうか?

 

飲食って結局日々ルーチンな作業が多いんです。それをおもしろくするためには、自分から何かをやろうと思う原動力が必要なので、それをある程度自由に試せるということは大事にしています。
だから基本的に現場には、何かあってもやってみれば?としか言いません。失敗しそうだなって思っても、失敗した時に相談してって。もしうまくいったなら、その時またもっとブラッシュアップしていけばいいじゃない、みたいな感じです。

 

 

 

ALAやビババンコといった店舗では、メイン料理の見せ方等でオープン時から微妙に変化している点があると思います。背景にはそういった現場の意見というのもあると思いますが、そこの許容幅はどうお考えでしょうか?

 

そこの判断は非常に難しいのですが、コンセプトメイキングの時に二割ぐらいにしておくのが大事だと考えています。そのお店の人たちが自分たちで考えて、試行錯誤しながら探っていく、そのモヤモヤしてる時を消化させる逃げ道が必要なんです。

 

 

 

でも実は、これバシッとやったら数字に直結するのになって思ってみてるのも事実。なので、コンセプトを作った側としては、どうそれを現場のスタッフが自分たちでやってるかのように導くかが大事で、そのためにはあとの八割のバッファが必要。二割のコンセプトメイキングの部分は迷った時に立ち返る場所です。スタッフもお客さんのニーズがだんだんわかってくるので、最終的には最初にイメージした形に近づいてきます。

 

その部分の共有は難しいですよね。一方で、スタッフからするとそのモヤモヤを自分たちで消化できるというのは成長につながるように感じます。

 

それはそうですね。やっぱり毎日考えてやるということが大事です。
それに、毎日何かを考えて行動して、その成果が早いスパンで出るというのが飲食店のいい所です。今日始まった営業は良くても悪くても今日必ず終わるし、今日ダメだったことは明日も試せる。それを毎日繰り返す間になんとなく何かをつかんできて、それが自信になってきたり、いわゆる社風になってきたりします。

だからメニューもスタッフが考えてつくるメニューを大事にしているので、グランドメニューみたいなものは置いていません。日替わりとかはありますが、それに関しては何をやってるかも知らないし、試食もしない。唯一値付けに関しては一般消費者の目線でアドバイスしますが、味は好みなのでストライクゾーンに入っていればいいんです。

 

シェフに関しては、そこをすり合わせていくコミュニケーションの手間と時間はものすごくかかりますが、でもそれをやらないと結局人は辞めていきますから。

 

 

 

飽きない=辞めない。次の成長のステージがある。

 

最近はグループの中で店舗を回るというケースはあっても、あまり辞める人がいないとお聞きしました。

 

結構辞めないですね。うちが全店違う業態をやってる理由のひとつは、スタッフに飽きさせないというのもありますので。

例えば大きな店舗のメインディッシュをやるのに飽きてきたら、小さなお店で全部やるようなところに入ったりします。なぜかというと、おいしい料理を1皿作る能力と、おいしい料理を100皿作り続ける能力は全然違うんです。だからそれを両方勉強するためには、大きな箱も小さな箱も両方必要だし、業態も変えていかないといけない。これに飽きるからみんなだいたい2,3年で辞めて違うお店に行く。

 

 

 

ちなみに浜松町のチッチ・ファンタスティコという店舗は90席あるんですが、元々そこは道場のためにつくったようなものなんです。今まではオステリアウララやALAのように、シェフと若手二人でやるキッチンのお店が多かったんですが、そうするとまだ技術が足りてない子を入社させることができない。でも、そういう人も入れていかないと会社の新陳代謝が進まないんです。そのためには5人ぐらいでやるキッチンも必要で、いわゆる雑用や下処理から覚えたいって子も受け入れる体制にしないといけない。

 

▲<チッチ・ファンタスティコ>浜松町から徒歩4分、薪で焼く塊肉と生パスタが人気のトラットリア。1階はオープンキッチンを中心にした30席のバールフロア、2階は60席のレストランフロアとなっており、料理だけでなくシーンを選ばない使い勝手のよさが好評となっている。

 

 

スタッフの成長も見据えてお店をつくっているんですね。その考え方に至ったのはなにかきっかけがあったのでしょうか?

 

やっぱり、まず自分が飽きるので(笑)。
自分が社員として長くいたい会社を考えた時に、ちゃんと給料が上がっていく、人間関係が良好になっていく、あとはやってることに飽きた時に違うステージが用意されている、というのがないといれないじゃないですか。結局、3年ぐらいずーっと同じ会社の同じメンバーでキッチンやってたらもう絶対飽きると思います。

 

 

シェフが偉い店はうまくいかない。完璧じゃなくてもいい。

 

古賀さんのお店は店長とシェフは別にしていると思いますが、これにはなにか理由あるんでしょうか?

 

それは、、もめさせるためです(笑)。
料理長が強い飲食店って絶対良くないんです。飲食店においてサービスマンが言われたら困る一言があって、「じゃあ自分で作ればいいじゃん」って言われると、何にもできなくなってしまって話が進まない。

 

 

 

だから、僕はなるべく表側に権力を持たせる方がお店はうまくいくと思っています。自分がコックだからというのもあるけど、常々シェフにはそんなに偉そうにする職業じゃないですよって言ってます。偉いのは表側でシェフは黒子。シェフは、お客さんの声を聴いてくるサービスマンに対して料理を提案するのが仕事です。

なぜならシェフってお客さんを見れない人が多いから。うちが共通してオープンキッチンにしてるのは、そういう目をシェフに養ってほしいという意味も込めています。

 

古賀さんのこういった人間観はどこからきてるんでしょうか?

 

基本的にやっぱり人が好きというのはあります。
まあなんか、飲食店てあたま悪いやつが多いんですよ(笑)。すっごくあたま悪いやつを見てると、、なんかバカだな~って思うと、、かわいくなるじゃないですか(笑)なんか人間ぽいじゃないですか、そういう人。

 

 

 

たしかにバランスがいい人より、この人うちでしか働けなさそうだなって思わせた方が採用即決するケースもありますね(笑)

 

そうそう、もう無理だろうなよそじゃっていう(笑)。そういうのはあるかもしれない。
それに、何か抜きんでるためには人間的な癖も必要だと思います。最終的には僕と大喧嘩して独立するような人がいてもいいと思うし、それぐらいのパワーがないと生きていくには大変かなと思います。

逆にこんなにゆるくていいのって言われたりもするんですが、でもまあ、それがいい職業だからいいんじゃないのって思います(笑)。

 

完璧であることを求めないんですね。

 

たぶんイタリアにいたからそう思えたのかもしれません。みんな結構テキトーなんで(笑)
今まで常識だと思ってきたことが、実はそうじゃなくてもいいとわかると結構なんでも大丈夫になります。

人それぞれ良い所もあって悪いところもある。自分も含めてそういう部分と触れ合っていかないと、結局は人を使う立場にはなれません。いろんな人が入ってくることで、そのぶん人間的な成長もするんじゃないかなと思っています。

 

最後に、古賀さんにとって”いいお店”とはどういうお店でしょうか?

 

シチュエーションにもよると思いますが、”やさしいこと”でしょうか。
やさしい人、ちゃんと思いやりがある人は食べ手のことがわかりますから。その街のお客さんが嬉しいと感じることにちゃんとアプローチができるというのもやさしさだと思います。そういう所も含めて各所にやさしさが見えるお店はいいお店だと思います。

 

 

 

経営者としての目線を持ちながら、スタッフやお客さんの人間らしい部分ととことん向き合う。そんな古賀さんがつくるお店だから、どのお店もやさしさと刺激に溢れ、働く人たちもファンになるのもしれません。ぜひ一度、ダルマプロダクションのお店に行ってみてはいかがでしょうか。