Icon alertGoogle ChromeのアップデートによるAndroid端末の不具合について
  • ホーム
  • 特集
  • この場所だからつくれた、小さなブルーパブと僕らだけの価値。- 前編 -
vertere_0731

FEATURE

この場所だからつくれた、小さなブルーパブと僕らだけの価値。- 前編 -

都心から約2時間、東京とは思えない美しい自然が広がるアウトドアの名所、奥多摩。その中心部にある奥多摩駅から徒歩約30秒という好立地に、築70年の古民家をリノベーションしたブルーパブ「Beer Cafe VERTERE」があります。オープンは2015年とまだできたばかりですが、都内でもタップテイクオーバーイベントが開かれる等、既にクラフトビールが好きな人たちの中でもファンが多いことで有名です。創業者したのは高校からの同級生という鈴木さんと辻野さん。奥多摩の自然を感じさせるような、まさに自然体なお二人ですが、お店は毎年来客数を更新し続ける奥多摩有数の人気店となっています。今回は、そんな奥多摩というローカルからビール市場に挑む、二人の若き起業家にお話を伺ってきました。内容は、前編と後編にわけてお届けします。

後編はこちら

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン

 

 

卒業旅行が引き合わせた二つの個性

 

お二人が出会われたのは高校生の時だそうですね。3年間ずっと仲が良かったんですか?

 

鈴木:いやぁ、ほんと最後の方なんですよ。知り合ったのは高3。

 

辻野:クラスが一緒じゃなかったんで、全然つるんだりとかなかったんです。部活も違うしクラスも違うし。

 

それでは、出会いはどのような経緯だったのでしょう?

 

鈴木:高3の時に進路が近かったこともあり、クラスや授業が重なってきて、二人ともわりと早い段階で大学が決まったので、そのあたりから何人かで一緒につるんでる中に二人ともいましたね。

 

辻野:最後に卒業旅行行こうみたいになって、その時に鈴木が急にカナダ行こう、オーロラ観に行こうって言い出したんです。当時そんなことを言う人はいなかったのでおもしろいなぁって。で、最初はみんなで行こうってなってたんですけど、準備をしていたら最後にこの二人だけしか残らなくて(笑)

 

鈴木:実際にカナダにいくための具体的な資金やパスポートとかを、期日までに準備できたのは二人だけでした(笑)

 

代表の鈴木光さん(左)と、醸造長の辻野木景さん(右)

 

 

プロセスも含めて実現されたのがお二人だけだったんですね。そこでお互い一緒にビジネスをするというイメージが湧いたのでしょうか?

 

鈴木:まあ、そうですね。辻野はとにかく調べるのが大好きで、当時はAirbnbとかなかったのに、安く泊まるために一般の住宅で一部屋貸しをしてるようなマニアックなHPをみつけてきたんです。バスのチケットも、英語できないのに海外サイトを調べつくして旅先で買った方が安いとか、ルートとかも調べるのが好きなのでずっと地図をみてるみたいな(笑)そういう所から、なんとなく物事を極めていくタイプだなと感じていました。

 

辻野さんは普段からもそうなんですか?

 

辻野:なんでもやっちゃいますね。元々実家がほんとになんでも屋なんで(笑)父がなんでもやるのが好きだったんです。何か壊れた時も修理に出そうとかじゃなくて、わからなくても自分たちで直してみるみたいな、そういうDIY精神はそこで育まれました。

 

DIYでつくったカフェの内観。木のぬくもりを感じられるリラックスした雰囲気。

 

常時10タップのビールを用意。メニュー表にはスタイルや飲み口、アルコール度数も書かれており、クラフトビールが初めての方にもわかりやすく説明されている。また、コーヒーやジュースといったソフトドリンクも豊富で、車を運転する方や家族連れにもやさしい。

 

 

そこから具体的に起業に至るまでは、どういうきっかけがあったのでしょうか?

 

辻野:鈴木は出会った時から社長になりたい、自分でなにかビジネスをやりたいってずっと言ってたんですよ。カナダに行った後は鈴木と過ごす時間が多かったんですが、暇な時間に二人でビジネスプランを考えるみたいな遊びをしていました。

 

鈴木:一緒にやろうと思えたのは彼だけだし、一緒にやろうと言って賛成してくれたのも彼だけだったので。

 

鈴木さんはいつ頃から起業を意識してましたか?

 

鈴木:うーん、、小学校ぐらいじゃないですかね(笑)
協調性がなかったんで、、自然とそう思うようになりました(笑)

 

辻野:みんなで一緒に帰ろうって言っても、足並みそろえないで一人だけ電車に乗って帰るみたいなタイプでした(笑)その時からおもしろいタイプでしたね。

 

 

 

なるほど、性格としてはほんとに全く違うお二人なんですね。お二人の意見がぶつかるということもあるのでしょうか?

 

辻野:話し合うことはありますけど、最終決定権を持っているのは鈴木です。
その分ビールのことは本当に制限なくやらせてもらっています。やっぱりすごいおもしろいアイデアもってくるのは彼の方なので、経営に関しては全面的に信頼しています。それに僕も興味がそっちの方にはそんなにないので、その分ビールに集中できる。お互いやりたいことをやっているっていう感じです。

 

鈴木:そうですね。最初は、すべて一緒にやっていたんですが、ようやく今形ができてきて、お互いやりたいことをやれる環境になってきました。

 

 

 

ビールなら自分たちも勝負の土俵に上がれる

 

起業やビジネスをやりたいというところからスタートして、なぜビールをつくることを選ばれたんでしょうか?

 

辻野:当時はたぶん何でもよかったんだと思うんです。それこそ大学生の時は、ビジネスプランを思いついても、お金もないし実績もないし、誰からも相手にされませんでした(笑)
そこで、何かこう武器があればいいよねってなって、それがたまたまビールになった、ビールだったからスタートできたっていう感じです。当時僕が働いていたビール工房にはすごい人が来てて、そこで需要があることもなんとなく感じていたので。

 

 

 

タイミングとしては、ちょうど日本でもクラフトビールが盛り上がりだした頃ですか?

 

辻野:そうですね。アメリカではすごいことになっていたので、たぶんこれはこの先日本でもくるなっていうのはありました。

 

鈴木:当時は今から8年前で、正直言うと日本のビールがアメリカのビールに比べてあまりおいしくないと感じていました。もちろん今はすごくレベルが上がってきて、逆に海外のビールよりも日本のフレッシュなものを飲んだ方がいいんじゃないかっていうくらいにレベルが高くなっているんですが、当時は国産のレベルの低さに驚いたんです。で、その一方で辻野がつくったビールを実際に飲んで、職人気質の彼ならここから更に洗練させていくだろうという進化の余地も感じていたので。

 

なるほど。アメリカとのレベルの違いを目の当たりにして、いいものを作れば必ずニーズがあるとビールの可能性を感じた。

 

辻野:そうですね。結局海外からきているものも、決して全部が全部おいしいわけじゃなくて、おいしくないものもやっぱりある。その幅がすごく広かったので、それだったら自分たちも勝負の土俵に上がれるんじゃないかなって。

 

 

 

ローカルに眠る価値

 

お二人は奥多摩には元々縁がないそうですが、どうしてこの場所を選ばれたのでしょうか?

 

鈴木:最初はやっぱり都心で探していたんですが、敷金や礼金を払ったら資本金なくなるんじゃないかって話になって(笑)そんな時にたまたま知り合いが、奥多摩見に来なよって言ってくれて。で、一番最初に見に来たのがここなんです。

 

辻野:最初は明らかにボロボロの物件を見てひでーなぁ、やばいなーって(笑)ただ、何回か見に来るうちに、この付近の土日の混み方が尋常じゃないことに気づいたんです。駅の近くに交差点があるんですけど、その人だかりを見てこれは絶対いけるみたいな。

 

つまり、最初から醸造所だけじゃなく、バーの併設も計画していたということでしょうか?

 

鈴木:はい、最初からありました。というのも、いきなり醸造所をつくっても、自分たちのビールが世間に受け入れられることはすぐには難しいと思っていたので、だから飲める場所も一緒につくろうと。この奥多摩という場所は、お客さんのほとんどが都心から中央線でアウトドアを楽しみに来るお客さんなので、ここで飲んでおいしかったら、逆に都心に帰ってみんなに発信してくれるんじゃないかというのを最初に考えたんです。

 

 

 

 

ちなみに、お二人はアウトドアも好きなのでしょうか?

 

鈴木:あぁ、全然しないです。うちのスタッフは誰もしないですね(笑)

 

辻野:インドア派ばっかりですね(笑)
でも、始めようと思ったきっかけでもあるんですけど、下見も兼ねて鈴木とこの付近でキャンプをした時にビールを飲んで、それがなんかすごくおいしく感じたんですよ。ビール単体でおいしいってのはもちろんなんですけど、なんかこうそれだけじゃない、ものに対しての付加価値って絶対あるなって。そういったものを感じれたのがこの奥多摩だったんです。

 

 

 

たしかに、このシチュエーションで飲むのは最高ですね!
お二人にとって理想とするブランド像はありますか?

 

鈴木:最初はわりとイケイケな思考だったんですが、最近はこじんまりしつつも、とても芯があって強いようなブルワリーが僕たちの目指す理想像ですね。具体的に言うとアメリカのヒルファームステッドやアルケミストあたりが理想のブルワリーです。

 

辻野:両方ともバーモント州で、何もなくて交通の便も良くない田舎にあるんですけど、それでもひっきりなしに世界中からお客さんが来ているんです。基本的に卸業者を通していないので、一般消費者もみんなそこで買わないといけない。その訴求力はすごいなと。

 

その理想像と近いのかもしれませんが、お二人がビジネスをする上ではどういう点を大事にされているのでしょうか?

 

鈴木:やっぱり、ビールの本質的な価値を大切にすることと、ローカルありきのビジネスだということは意識しています。ビジネス書とか読むと、例えばインフルエンサーを使ってバズらせて、みたいなことが書いてあるんですけど、僕たちは全然そういう感じじゃない。大きい会社だったら、新製品つくってバズらせるとかもあるかもしれないんですが、うちはもっとスモールビジネスとして、ローカルでやっているということをすごく意識しています。

 

先ほど出た2社のように、この場所で売るということを大事にされている?

 

辻野:そうですね、ものの価値を大事にしてるというか。結局つくってるこの場所で飲むビールが一番おいしいので、その状態で一番飲んで欲しいんです。ここで飲んでもらうことで、一番個性が出ると思っています。

 

 

>後編に続く