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FEATURE

コーヒー店主が、クラフトビールをつくるわけ。

カフェが届けるものは、美味しいコーヒーやありのままの自分でいられる空間など、目には見えないけれど私たちを豊かにしてくれるもの。でも、これからはカフェやコーヒー業界が盛り上がるきっかけを発信していくことも大事かもしれない、と考えた東向島珈琲店オーナー・井奈波さん。

その第一歩として挑戦した取り組みは、オリジナルのクラフトビールづくりでした。

なぜコーヒー店主でありながらクラフトビールをつくろうと思ったのか、どのようにクラフトビールはつくられるのか。鋸南麦酒さんの醸造所で行われた井奈波さんのビールづくりとその想いについて取材させていただきました。
東向島珈琲店についての記事はこちら

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コーヒー業界を盛り上げる“ 原点 ”を増やしたい

 

どのようなクラフトビールをつくるのでしょうか?

 

東向島珈琲店のコーヒー豆でつくる、ほどよい苦味を生かしたクラフトビールです。
今回は、個人的に好きなのと、コーヒーのフレーバーとも合わせやすいので黒ビールをつくります。黒ビールって案外飲まれていないような気がしていて、黒ビールの魅力も伝えられたら嬉しいです。サンドイッチとも相性がいいですよ。

 

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東向島珈琲店オーナー・井奈波さん
13年前に墨田区・東向島でお店をスタートし、“自らつくったものを直接お客さんに届けたい”という想いのもと手づくりされたサンドイッチやスイーツはやみつきになる美味しさ。地元の方を中心に、多くのお客さんに愛され続けている。

 

 

オリジナルのクラフトビールをつくろうと思われたきっかけは何でしょう?

 

他のお店にはないようなものをつくりたいと思っていたので、頭の中に挑戦してみたいことはいくつかありました。その中の一つが、オリジナルのクラフトビールづくりだったんです。
あとは、コーヒー業界全体が盛り上がったらいいなという思いもありました。

 

クラフトビールづくりでコーヒー業界を盛り上げるとは?

 

今コーヒー業界は一種のブームもあり盛り上がっていますが、いつか衰退したり、陰ったりしてしまうかもしれない。そういうこと自体に、コーヒー業界に身を置く者としては責任を感じてしまうんです。

いつでも好奇心旺盛でいて、日々新しい試みをすることで、コーヒー業界の可能性やモチベーションにつながっていくかもしれないと思っています。なので「コーヒーでオリジナルのクラフトビールか、じゃあうちはこんなことしてみよう!」と思ってもらえるような“ 原点 ”を一つでも提供できたら嬉しいです。

 

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コーヒー業界に携わる方が、新しい可能性に気づいたり挑戦するきっかけづくりなのですね。

 

そんなことを思っていたタイミングで、東向島珈琲店の近所にある居酒屋「源次郎」のオーナーさんが行うビールのお披露目会があり、そこで鋸南麦酒さんとお会いしました。一緒にクラフトビールをつくることになったのはそのときのご縁がきっかけなんです。

 

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鋸南麦酒さんは千葉県鋸南町の道の駅内にある、地元の食材を使用したクラフトビールを製造するブルワリー兼直売所。

 

 

それからどのようにビールづくりは進められたのでしょうか?

 

源次郎のオーナーさんは、とてもクラフトビールにお詳しい方です。なのでどういったビールにするのかを、僕の希望やクラフトビールの市場・マーケティングの観点などを含め一緒に話し合い、鋸南麦酒さんの担当者・岡村さんにお伝えしアドバイスをいただきながら進めていきました。

オリジナルビールを一緒につくりましょう、とお話してから実際にビールの仕込みまで1ヶ月ほど。このスピード感で進められたのは、源次郎のオーナーさんの計らいがとても大きいです。鋸南麦酒さんと源次郎のオーナーさんの間には信頼関係もありましたし、私自身、岡村さんを信頼しビールづくりをお任せできました。

 

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ビールづくりを教えてくださった、鋸南麦酒の工場長・岡村さん。

 

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オリジナルビールをつくるうえで何か必要な資格などはありましたか?

 

特にありません。製造自体は鋸南麦酒さんにお任せしていますし、お店で栓を開けて提供するだけなら免許はいりません。ただ、商品としてそのまま販売する場合は酒販免許が必要です。なので、墨田区の酒屋さんで取り扱っていただけるお店が1・2店舗あったらいいなぁと考えているところです。

もし、うちのオリジナルビールをお求めになりたいという方がいらっしゃったら、受注生産になるので東向島珈琲店へお問い合わせいただけましたら、僕から岡本さんへご相談させていただきます。

 

 

井奈波さんが挑戦する、オリジナルクラフトビールづくり。

 

東向島珈琲店の常連さんもいらっしゃり、10人ほどでビールづくりです!
井奈波さんは、お店の常連さんたちとプライベートでも遊ぶことが多いそう。

 

普段見ることができないビールづくりの現場に心躍らせながらスタートです。

 

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みなさん各工程を見学しながら、所々で実際に体験もできるということで嬉しそうな様子。

 

 

ビールづくりの工程は、
⑴糖化 ⑵ろ過 ⑶煮沸 ⑷ワールプール ⑸冷却機 ⑹発酵 ⑺貯蔵 これを経てビールが完成します。
今回は半日ほどの作業時間で、⑸の工程まで進めていきました。

 

ビールの素となるのは麦芽。黒ビールということで焙煎具合が違う3種類の麦芽を用意。仕上げたい味わいによって配合する割合や量などを調整します。
鋸南麦酒さんで使用する麦芽は、一番焙煎したものでも焦げた感じはなく、香ばしい風味です。

 

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【⑴ 糖化】

麦芽をお湯のはっている鍋の中に入れ、デンプンを溶け出させます。 (デンプンが溶け出しやすいように麦芽は粉砕したものを使用する。)

 

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3種類の焙煎具合の麦芽を粉砕したもの

 

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そもそも麦芽に糖分はなく、あるのはデンプンです。

 65〜70度の温度にすることで、麦芽の中の酵素がデンプンを分解できるようになり、糖に変える働きをするのですが、温度を上げすぎてしまうと酵素は死んでしまいます。


糖化では温度管理がとても重要です。
酵素を働かせたり、逆にその働きを止めることで糖化の具合を調整し、ビールの味わいを変えていきます。

 

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すべて麦芽を投入したら、麦芽をお湯につけるため全体的になじませるように下からかき混ぜます。
これを煮立て、つくられる液体が麦汁です。麦汁はすごく自然な甘み。

 

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【⑵ ろ過】

ろ過を行う時点でデンプンがすべて糖に変わっていることがベストです。

デンプンが残っていると、完成したときにビール特有のスッキリ感が出にくくなります。物にもよりますが、ビールは飲んだときのスッキリ感や口当たりが大事。

 

投入した麦芽の固形物をろ過。

 

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【⑶ 煮沸】

ろ過した麦汁の糖度を計算し、求める糖度の濃さになるよう加水した麦汁を煮沸させていきます。

 

ホップは苦味や香りをつけるものです。
投入のタイミングが早ければ苦味が強くなり、遅くすると香りが強くなります。ホップにも様々な種類があり、使用するホップや投入のタイミング・量によってビールの仕上がりが大きく変わってきます。

今回は、香りより苦味の風味を重視する仕上がりにしたいので、煮沸工程のはじめのほうに投入。

 

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ホップの香りや苦味を凝縮させ加工されたペレットというもの。今回は、ケントゴールディングというイギリスのホップと苦味を少し付け加えるためナゲットというホップも少し配合した、2種類のブレンドを使用。

 

 

【⑷ ワールプール】

 

煮沸後、最後に固形物を取り除くワールプールという作業です。

こぼれない程度に強くかき混ぜて、遠心力を使い真ん中にろ過で取りきれなかった麦芽やポップの残留などの固形物を集めます。

 

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井奈波さんも実際にかき混ぜてみることに。想像以上に力が必要な作業に驚き。

 

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この作業がうまくできるときれいな麦汁ができる。

 

 

【⑸ 冷却】

 

ワールプール後、冷却させます。

 

【⑹ 発酵】

 

冷却後、酵母を加え、適した温度で発酵させていきます。

 

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鋸南麦酒さんでは、市販の冷凍庫を改造したもので発酵を行なっています。

発酵する際、微生物が活動を始めると熱を発します。ですが、酵母は温めすぎると死んでしまうため、その熱を抑える役割が冷凍庫です。冷凍庫といっても氷点下にするようなことはありません。冷却のパワーが冷蔵庫より強いということで使用しているそう。

また、冷却以外にも外気温の影響を受けることがない点や、 袋を使って発酵させるため、袋を使い捨てでき発酵機を清潔に保つことができるという利点があります。

 

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元々、島根県の石見麦酒さんが開発した発酵機。今では全国30ヶ所ほどで使われている。

 

 

1週間ほど発酵させたタイミングで、挽いたコーヒー豆をだしパックのようなものにいれ、ビールにつけ込みます。 コーヒー豆の挽き具合やつけこむ日数などで、酸味や香りを調整。

⑴糖化 ⑵ろ過 ⑶煮沸 ⑷ワールプール ⑸冷却機 ⑹発酵 ⑺貯蔵+コーヒーのつけ込み工程を経て、およそ2週間で完成です。

 

 

ビールの完成お披露目会!

 

後日、ビールの完成を祝い鋸南麦酒さんと初めてお会いしたときと同様に、居酒屋「源次郎」にてお披露目会が行われました。鋸南麦酒社長・安田さんや岡村さん、墨田区で飲食店を運営している方や、東向島珈琲店のお客さんなど30名ほどで和気あいあいと談笑しながら完成したビールを味わいました。

 

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コーヒーの苦味を味のアクセントにしていたとのことでしたが、嫌な苦味はなく、ビール全体の味を引き締めてくれるような心地よい苦味でとても飲みやすい。コーヒーの香ばしい香りもしっかりと味わうことができる美味しさです。

 

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実際にクラフトビールをつくってみていかがでしたか?

 

少量ずつつくるクラフトビールは、皆さんにお届けするまでにお時間をいただいてしまうこともあるかもしれません。それでも、少量ずつつくるからこそ品質のブラッシュアップがこまめにでき、より美味しいものをつくり上げていける点がクラフトビールの良さだと思います。それをご理解いただけるお客様と共に、長く愛される商品づくりをしていきたいです。

僕がお店づくりで大切にしている、できる限り手づくりのもの・背景が見えるものを提供したいという想いを、このクラフトビールづくりを通してお伝えできればいいなと思います。

 

 


東向島珈琲店オリジナルビール「iles COFFEE PORTER」はKITCHEN BROTHERSに掲載しています。
→ご相談やご購入は下記ページよりお問い合わせください。

 

 

 

東向島珈琲店のサムネイル

東向島珈琲店

2006年東京墨田区で創業。シグニチャースイーツであるレアチーズは国内外で高い評価を受けている。 2017年にTime Out Tokyo主催「LOVE TOKYO AWARD」にて部門最高賞である「BEST CAFE」受賞。

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