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FEATURE

人の魅力とプチサプライズに溢れる小さな立ち飲み屋 - コマル -

個性豊かな飲食店と、感度の高いお客さんが集まることで知られる都内屈指の人気エリア、三軒茶屋。その三軒茶屋の駅からまっすぐ伸びる茶沢通りを約10分弱ほど歩いた場所に、連日お客さんで賑わう人気立ち飲み店「コマル」はあります。客層は立ち飲みにも関わらず、男性だけでなく女性も多く、そのうえ年齢層も様々。10坪ほどしかないお店の中に一体どのような魅力が詰まっているのか、その秘密を、運営する2TAPS代表の河内さんに伺いました。

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“いいスタッフ”がいるからできること

 

「コマル」は2TAPSさんのお店としては「三茶呑場 マルコ」「ニューマルコ」に続く3店舗目となりますが、開業に至った背景を教えてください。

 

一番の理由は、いいスタッフが揃ってきたからですね。僕たちは、新しいお店をつくりたいからスタッフを集めようってことはあんまりしないんです。むしろ逆で、いいスタッフがいたらやろうか、みたいな考え方です。全店通して接客中心でやってるお店なので、オペレーションを重視して人やメニューを簡略化するということはあまりしたくありません。そんな中で、同世代の子たちが多く集まってきて、なんとなくいい感じだなぁってなって。

 

ここは最初倉庫として借りようと思ってたんですけど、ランニングコストも安いうえに、箱の形もいいなっていう条件が合ったので、みんなで話をしてお店として出すことに決めました。

 

2TAPS代表取締役の河内亮氏。2014年12月に「三茶呑場 マルコ」、17年9月に「二ューマルコ」をオープン。両店とも予約困難な三軒茶屋の人気店となっている。

 

 

箱の形もポイントだったんですね?

 

ここは正方形なんですよ。「マルコ」も「ニューマルコ」も縦長の物件で形が難しくて。
ただ、この辺りは飲食が少し難しいと言われていて、同じ条件でも一店目ならやらなかったかもしれません。でも、そういうことはあんまり気にしないタイプというのもありますが、やりたい方を優先しました。

 

「コマル」はこれまでの2店舗にはない立ち飲みスタイルとなっています。どのようなコンセプトでつくられたのでしょうか?

 

既存の「マルコ」と「ニューマルコ」はすごく女性のお客さんが多いんですよ。お二人で来られる女性がすごく多い。なので、3店舗目としてのバランスを考えた時に、やっぱり男性に来ていただきたいなと。そのうえで、他のお店との差別化も考えて立ち飲みにしました。立ち飲み屋さんって結構ぎゅうぎゅうで狭いってイメージあるんですが、うちの場合は逆で、このカウンターでパーソナルスペースをしっかりとって、最後までしっかり食事してもらえるようなスタイルです。

 

コマルの魅力のひとつ、丸型カウンター。奥行幅を80cmとっていることで、10坪の立ち飲みとは思えない余裕のあるスペースを提供している。

 

 

たしかに、厨房を囲むような丸いカウンターが目を引きます。理想とするお店はあったのでしょうか?

 

福岡にある「めしや コヤマパーキング」(福岡の薬院大通にある人気居酒屋)がとても印象的だったので、そこからヒントを得て丸型にしました。丸型だと中から全部サーブできるんですが、それってすごくいいことだなって。

それに、丸だと比較的お客さん同士の接着度も高くて、お店の中に一体感も生まれるんです。もともと人の縁を大事にしたいと思ってやってる会社なので、ライブ感もあるし丸って非常にいいなって。

 

 

 

全店通して、お客さんに「すいません」と言わせない文化があるとお聞きしました。それはどのように生まれたのでしょうか?

 

僕は以前80席ぐらいある大きい店舗にいたこともあったのですが、そういうお店ってやっぱり人数も立てないといけないし、お客さんから「すいません」て呼ばれる事が多いのかなと。

自分でお店をやるとしたら、小さいけど密着度があって、ホスピタリティが高くて、お客さんに「今日行ったけど、なんか賑わってていっぱいで入れなかった」みたいな、ちょっと“いいフラストレーション”を持ち帰ってもらえるようなお店をやりたいと考えていました。だから、箱の坪数にはすごくこだわってますね。

 

 

 

「コマル」も10坪ぐらいの広さを3名のスタッフで運営されていますが、お客さんへの細やかな声がけや気配りが印象的でした。

 

「すいません」って、“そのお客さんが頼む前のアクションに気づく”、それはやっぱり会社全体でも言ってることなので。
僕たちは、テーブルの管理までしっかりやる、そこまで見れることがお店としてのパーソナリティー。その範囲を超えるんだったらやらない方がいいと思っています。特に三軒茶屋は個店が強い街でもあるので、例えば個室重視のお店の商売の仕方っていうのは、僕たちには向いていないのかなと思います。

 

 

 

また来たい、明日来たいと思わせるコマルワールド

 

駅から少し離れた立地にもかかわらず、連日満員です。どういう方が来られているのでしょうか?

 

近隣のお客さんもいますが、最近はInstagramを見て来てくださる方も多いです。

 

ロゴデザインを担当したのは、人気イラストレーターのニシクボサユリさん。「コマル」をイメージして描いてもらったそうで、なんとこれが初稿とのこと。

 

 

絶妙にストリート感のあるロゴが、シンプルで清潔感のあるお店の雰囲気とマッチしていてとても素敵です。この「コマル」のロゴはどのように生まれたのでしょうか?

 

最近は皆さんInstagramで写真あげるじゃないですか?料理の写真をあげるのも結構スタンダードになってきてたので、それと合わせてこんなアイコンがくっついてくると派生しやすいかなと思って。サユリちゃんはもともと「ニューマルコ」の常連さんで、ほんとによく来てくれてて。絵描きさんということもあったので、じゃあコラボしようかって話になりました。

 

お客さんにシェアしてもらうためのフックという意味も込められたんですね。

 

そうですね、そこだけは戦略的にやりましたね。はじめはやっぱりこの距離を単独でお客さんを呼べるのかが怖かったんです。で、僕たちにできることって何なんだって考えた末に思い付いたのが、空間のファーストインプレッションと、このグラスみたいな情報の発信材料になるものだったんですね。

 

 

 

「コマル」は他にもこういった楽しい仕掛けが多いと感じましたが、何か理由があるのでしょうか?

 

そこはやっぱり考えてますね。ご飯食べてお酒飲んで、それだけで自分から誰かに楽しかったって語る人は少ないじゃないですか。視覚的に目に見えるものって重要で、例えばショーケースとか、料理もここでこんなもの出るの?とか、そんなプチサプライズみたいなものがたくさんあると、いい高揚感を持って帰ってもらえるのかなと思います。特に「コマル」は、駅からの距離や立ち飲みということのリスクヘッジも考えて、お店自体をすごくカラフルに色付けしていった部分はあるかもしれません。

 

お店に入ると真っ先に目に入るカウンターのカラフルなタイル。お店のトンマナはこのタイルのカラーを基に設計しているとのこと。

 

注文率の高いレモンサワーと「コマル」ロゴ入りの桝。コマルはキャッシュオン形式のため、桝に入れたお金から都度会計となる。お酒好きな人たちの「今日飲みすぎた!」なんて事態も防げるのだそう(笑)

 

飲みたいお酒を自分で選べるショーケース。日本酒を中心にクラフトビールや自然派ワインも揃えている。

 

 

料理も定番系から締め系まで豊富ですが、どういう建て付けで考えられているのでしょうか?

 

まずアイコンになるものがボリュームとして2割から3割あるんですけど、それだけだとお客さんが疲れてしまうので定番もあります。あと、お酒を飲んでもらうためのメニューだったりボリュームがある〆(しめ)だったりっていうので、全部で4分割か5分割ぐらいで考えていますね。今日は食べれなかったけど、また次に来た時は食べたいっていう、いいフラストレーションが生まれるようにしています。
うちはもともと料理人出身のスタッフが多くて、考えることも好きな子たちが多いのでその点は強いですね。

 

季節限定のコマル名物「黒豚粗挽き焼売」(左上)。「コマル」では定番となっている「ガリシソしめ鯖」(右上)と「ホースラディッシュとコンビーフポテサラ」(左下)、そして〆の看板メニュー「本マグロ鉄火巻き」

 

 

ここでちゃんとおいしいものを食べて帰れるっていう体験をお客さんに提供する、会社全体としてそうなっています。だから「マルコ」や「ニューマルコ」も含めて、ちゃんと時間を使って楽しんで、お腹いっぱいで帰ってもらえたら嬉しいですね。

 

 

 

決して干渉しすぎるわけでもなく、ここ!というタイミングでとにかく目が合う、そんな絶妙な距離感のスタッフと、小さな空間に散りばめられた様々なプチサプライズがリズムよく押し寄せてきて、他にはない居心地のよさを感じられる「コマル」。その魅力に気づいた頃にはもう中毒になっているなんとも罪なお店です。ぜひ一度、体験してみてはいかがでしょうか。