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FEATURE

北出さんの「北出食堂」

“北出に行こうよ!”その声を合図に小さなお子さんからおじいちゃんまでこぞって集まる場所「北出食堂」

お店は馬喰町のオフィス街にあります。店内は鉄製の椅子やコンクリートの壁など、ブルックリンさながらの雰囲気。また、看板メニューであるメキシカンタコスをはじめ、日本の要素を掛け合わせた意外性のある料理の美味しさはここでしか味わえません。

オーナーの北出茂雄さんは、レゲェを追い求め海外へ渡ったことをきっかけに飲食の道へ。
みんなが幸せになれる場所を目指したお店づくりや、北出さんの思想が詰め込まれた「北出食堂」の生い立ちとこだわりについてお話しをお聞きしました。

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料理人へのはじまりは、レゲェだった。

 

ニューヨーク・ブルックリンにある創作和食レストラン「BOZU」(※)で修行されていたとお聞きしました。いつ頃から料理人への道を目指していたのですか?

 

実は最初から料理人を目指していたわけではありませんでした。20歳くらいからクラブでDJをしていて、当時、英語なんかわからなかったけど、レゲェが好きすぎてミックステープが擦り切れるくらい聴きまくっていたんです。もっとレゲェを深く知るために言葉を理解したくなり、社会人を辞め海外に飛び出したことが始まりなんです。

 

(※)ブルックリンのウィリアムスバーグで人気のタパススタイルの創作和食レストラン。 煉瓦や廃材を使って手作りされた店内は落ち着く雰囲気。ルールとして"NO MSG, NO GMO"を掲げ、食の安全やこれからの地球環境問題にも取り組んでいる。

 

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料理人になるために海外へ向かったわけではなかったのですね。

 

最初はニューヨークの大学へ通うことなども考えたのですが、金銭面のこともあり諦めました。それからイギリスにボランティア留学ができるという話があり、英語圏ならどこでもいいかくらいの気持ちでイギリスへ。ボランティアではおじいちゃんおばあちゃんのお世話をしていました。そこで、おじいちゃんおばあちゃんに英語を教えてもらいながら生活していたら、いつの間にか英語が聞き取れて、喋れるようになっていましたね。
それから、がっつりレゲェを味わってみたいという想いで向かった先がニューヨークです。

 

ニューヨークではどのようなきっかけで「BOZU」と出会ったのでしょうか?

 

ニューヨークに着いてから無事に住む家が決まり、その近くにたまたま日本食レストランがあったので行ってみたんです。そのお店が「BOZU」。いろいろ話していくうちに、BOZUのオーナーさんが僕の住む家に以前住んでいたということがわかり、それから引越しのお手伝いに始まり、時々お店のお手伝いもするくらい親しくしていただきました。

 

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予想以上に運命的な出会いに驚きです・・・!
そのときには飲食の道を目指そうという気持ちが芽生えていたのでしょうか?

 

いや、最初の1年くらいは音楽活動がメインだったので、お手伝い程度だったんです。でも、そうしていくうちに“自分のお店を持ちたい”と思い始め、本格的に修行させて欲しいとBOZUのオーナーに話したことが、飲食の道へ進む転機となりました。

それから“自分のお店を持つ”ということを目標にBOZUで6年間修行し、自分でお店をやるにはどうしたらいいんだろうと常に考えて、ニューヨークの業者さんと交友を持ったり、いろんなお店で食べてみたりしました。様々な人種の人たちが共存する国で、豊富な食体験ができたことはすごく良かったなと思いますね。あとは、BOZUの新しい店舗にチーフとして入ったりして、料理だけでなく経営も含め飲食店としてのノウハウを学びました。

 

きっかけはレゲェではありましたが、本気で飲食の道へ進もうと決めてからは料理一筋で学んできたのですね。

 

元々料理は大好きだったんです。みんなを招いてパーティーをしたり、料理を振る舞ったり。何かをつくることは好き。料理に限らず、人に何かしてあげることが好きです。

 

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みんなの喜びがある場所

 

帰国後、念願である自分のお店「北出食堂」を作られたのですね。

 

当初はニューヨークでお店をやりたかったのですが、様々な事情やタイミングが重なり、当時付き合っていた彼女との結婚を機に帰国。日本での再スタートとなりました。

 

“ニューヨークでお店をやりたかった”というのには何か理由があったのでしょうか?

 

ニューヨークって人のパワーがすごいんです。何がすごいって「俺はDJなんだ」みたいに、自分をこうなんだって言ったら肩書き抜きでそれを認めてくれる。それで食べているか、食べていないかは関係なく、その主張を受け止めてくれるパワーがあります。だから何にでもなれる。それが、ニューヨークでお店をやりたかった理由です。そんな感じだったので、日本に帰ってきてからも「できる」という気持ちしかなかった。

 

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これから何かを始めようと思う人にとって、とても心強い場所だったのですね。
ところで、なぜお店の名前は「北出食堂」なのでしょうか?

 

なんか“食堂”ってすごくいいですよねぇ。僕好きなんです。
最初は横文字系を考えていたのですが全然しっくりこなくて。BOZUのオーナーに「いろんな料理が出せるように食堂は?北出食堂!」って言われたときに“食堂”っていうのはしっくりきたけど、北出食堂は絶対やだって思いましたね。結局、ごり押しされて北出食堂になったんですけど(笑)

ただ、今となってはお客さんがすごく親しみやすいようなのでそこは良かったなと思います。北出食堂の“北出”が名字だと気づかない人も結構多いみたいなんです(笑)「北出行こうよ!」というような声を聞くと、一名詞になったんだなって実感しますね。

 

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親しみやすい店名とおしゃれな店内のギャップもまたかっこいいです。
北出さんがお店作りで大切にしていることは何でしょうか?

 

 「お客さん・お店・働いているスタッフ」どれかが中心にあるのでなく、トライアングルのようなバランスでみんなが幸せになれる場所であることです。

小さなお子さんからご年配の方まで、様々なお客さんが集まる地域一番のコミュニティスポットであり、ご来店されるお客さん方に少しでも「美味しい」や「楽しい」と感じていただけるお店。そして、ここで働くスタッフみんなが“ずっとここで働いてたい”と思えるくらい、楽しい場所であってほしいなと思っています。

 

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共にお店を作る仲間はとても大切だと思うのですが、どのような方とお店を作っていきたいですか?

 

「ありがとう」「美味しかった」って言われることを自分の栄養にできるというか、人に喜んでもらうことで自分も喜べるような人だといいなと思います。でも、基本うちは来るもの拒まずのスタンスです。
飲食業って体力面も精神面も大変な仕事なのに、給与が安かったり、拘束時間が長かったりしますよね。そういうところは変えていきたいですね。もっと稼げるようになったり、結婚とかをスムーズに考えられるような仕事にしていけたらいいなと思います。

 

 

ここにしかない味わいと作り手の愛

 

北出食堂さんはなぜタコスがメインなのでしょうか?

 

僕はタコス屋さんがやりたかったんです。
ニューヨークに住んでいたとき、家から徒歩1分のところにあったタコス屋さんでタコスの美味しさに衝撃を受けました。

アメリカではアメリカンタコスが主流なのですが、そのタコス屋さんは本物のストリートメキシカンタコスでした。まずサイズ感が全然違って、手の平サイズ。4インチくらいのタコス生地の上にいろんな具材をのせて食べるんです。サルサが5種類くらいあることにも驚きでした。近所だからということもありますが、暇があれば食べに通うほど美味しかった。
なので、僕も日本でこんなタコス屋さんができたらいいなと心のどこかで思っていました。

 

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ぷっくり真ん中が膨れてきたら美味しいタコス生地が焼きあがったしるし。

 

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タコスの具材にシメサバやマグロステーキなど、めずらしいメニューがたくさんありますね!

 

タコスも然り、違う国の食べ物をそのまま作るのではなく、日本の食材・調味料を掛け合わせたオリジナルなものを作っています。あとは、何かを作ったときのつけ汁のように、何か副産物が生まれたときにそれをレシピに加えてみると新鮮で、みんなが“なんだろう、これ?”って思うようなものになる。そんな意外性のある美味しさを味わえる料理を作っています。

僕も日本人なので日本食はもちろん大好きですし、世界に通用するものだと思っています。日本だからできるもの、手に入る食材は大切にしたいなという想いはあります。

 

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【赤キャベツとチーズのラペ】上にトッピングされたチーズもお店の手作り。ナッツも入っていて歯ごたえも楽しく毎回頼みたくなる一品。隠し味はオリジナルの寿司酢。

 

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【アジフライサンド】築地でアジがたくさん穫れたときに、アジフライをおつまみとしてサルサと一緒に出していたが、当時働いていたバイトの子が「これ、パンとかに挟んだら美味しそう」と言ったのが始まり。

 

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【ホルモンフリー放牧牛100%ハンバーグ】ランチ一番人気。牧草牛を使用した肉肉しさが特徴。りんごをたっぷり使った醤油ベースのBBQソースを、りんごの皮で作った自家製の天然酵母で発酵させ、白ワインなどを加え絶妙な火加減で作りあげるハンバーグソースはやみつきになること間違いなし。

 

 

日本の要素が一つ掛け合わさるだけでも、新たな食の発見がありそうです。
調理をするうえで大切にしていることはありますか?

 

「食材を一切無駄にしない。副産物で何かをつくる。」ということです。
これはBOZUのオーナーのフィロソフィーの一つでもあります。何かを捨ててまで一つの物を作り上げることは無駄だし、食べ物を捨て続けて何のために飲食業をやっているの?みたいな、オーナーの根本にある考え方をとてもリスペクトしています。なにより僕自身も強くそう感じているので、うちでは人参の皮などをまかないで使用しています。

 

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あとは化学調味料を使わずに作ることもそうですね。
たしかに化学調味料を使っていても美味しいものってたくさんあると思います。正直、戦後の日本食を支えてきたものの一つだし、絶対的に悪いものだとは名言できません。ただ、体には悪いんじゃないかなという気持ちが僕の中にあるので使わないというルールをつくっているだけ。
それに“化学調味料なしで作るとなったらどうしたらいいんだろう?”と考えることで、みんなの料理の技術も上がるし考え方も変わってくるのかなと思います。

 

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北出さん自身が感じたり、考えたりしたことを、料理に落とし込んでいるのですね。
他に大切にされていることはありますか?

 

最後は愛ですね、美味しくなーれって言うこと(笑) もちろん料理の技術は必要かもしれないけど、今はYouTubeで料理を学べる時代。そうなるとやっぱり最後は、その“美味しくなーれ”が大事。“誰かに美味しく食べてもらうんだ”ということを考えながら作ることが大切かなと思います。

 

そのようなまっすぐな想いがこもった料理が美味しくないはずがありませんね。

 

日頃、忙しくなるとどうしても作業的になりがち。レシピ通りに作ればいいやみたいな気持ちで作ったものは、やっぱり美味しくないんですよね。だからみんなにもそこは気をつけようねって口を酸っぱくして言っています。

 

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魅力的な料理をさらに盛り上げるドリンク

 

北出食堂はドリンクも豊富ですよね。特にアルコールは迷ってしまいます。

 

うちはワインが1番よくでます。ワインのメニューは決まっていなくて、その日その日により種類の違う自然派ワインを常時、白・赤を3種類、泡を1種類用意しています。僕は元々ワインが苦手だったんですが、初めて自然派ワインを飲んだときに結構イケるかもって(笑) そこからいろんなワインに触れてみるのもおもしろいなと思い、このスタイルで提供しています。

 

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日によってラインナップが違うといつ頼んでも新鮮で楽しいですね。
ノンアルコールのドリンクでおすすめはありますか?

 

Brooklyn Ribbon Fries Ginger Syrup(ブルックリンリボンフライ ジンジャーシロップ 以下、BRF)を使ったジンジャーエールですね。 元々BRFのオーナーさんと僕が個人的に知り合いだったということもあり、BRFが日本でレセプションパーティーをしたときには僕もお手伝いをしていました。BRFの人たちはみんな個性豊かでおもしろい人ばかりなのでそこもすごく魅力的です。
ジンジャーシロップをホームメイドで作っているところって他にもあるけど、ここまで強烈な美味しさのものはないなと思います。

 

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野中ニッポンタンサンという強炭酸で割るBRF Original ジンジャーエール

 

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スパイスの風味が鼻を抜ける感じがあり、一度飲むとまた飲みたくなる味わいですよね。

 

うちのお客さんはマジで好きな人が多い。飲んだら味の違いが伝わる商品だからこそリピーターが多いかもしれないです。しかも、シロップだからお酒で割ったりアイスクリームにかけたりもできて幅が広いのがいいですね。

 

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こだわりにこだわりを重ね、作られた大事な場所。

 

お店に漂う雰囲気というか、空間の完成度がとても高くてうっとりしてしまいます。

 

うちの内装はインダストリアルにこだわっているので、1時間座ったら腰が痛くなるような鉄の椅子ばかりなんです(笑) そういう面を考えると、本当はソファとかにしたほうがいいのかなって思うんですが、アートディレクターでもあるうちの嫁さんが「そこはソファにしたらダメでしょ!」って。

なんとなくお客さんに寄せていくと、とってつけたみたいな感じに仕上がっちゃうんです。作られたブルックリンテイストの店って結構妥協してるところばっかりで。そうすると、ああ、作られてるなぁって感じがどうしてもしてしまうんですよね。

 

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どのようなところにこだわってインダストリアルな雰囲気を出されているのですか?

 

実は、うちの机は全部手作りなんです。ブルックリンの物は、元々あるものや古いものを生かして手作りで作られているので、できる限りその感じを表現したかった。でも、僕が作ったままではあまりにも手作り感がでてしまうので、要である最後の仕上げをBOZUやBOZUが展開する他の店舗の内装も担当していただいた、伊藤 覚(いとう さとる)さんにお願いしました。

たまたま僕が日本に戻るタイミングで伊藤さんも日本に帰るということで「日本1店舗目としてうちをお願いします。」と話をしたら快く引き受けてくださいました。

 

目には見えないこだわりの積み重ねが、完成度の高い空間をつくり上げているのですね。
料理人の道を目指してから、不安や大変なこともたくさんあったと思いますが、北出さん自身の気持ちにまっすぐに進んできた結果が「北出食堂」なのですね。

 

周りからは「いきあたりばっちし」って言われていますね(笑)

 

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最後に、これから北出食堂をどのようにしていきたいですか?

 

僕はこのお店をすごく大事に思っています。なので、ここからは離れたくないですね。
日本食文化の一つとして、タコスという選択肢があってもいいんじゃないかなと思っていて「コンビニでタコス買ってきたよ!」っていうくらい身近な存在にしたいです。

今は家庭やホームパーティーでタコスを作ろうと思っても、タコスの生地ってなかなか手に入りにくいですよね。だから、北海道産のとうもろこしを使ってタコスの生地を作るトルティーヤファクトリーを建設中で、お店で使う分だけではなく後々は販売もしていけたらいいなと思います。

北出食堂がこの地域のコミュニティスポットとして、街全体も近隣のお店も仲良く一緒になって盛り上げていけたらいいですね!

 

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