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ketoku

FEATURE

元ビストロシェフのお店で“いぶかしい”を楽しむ - ketoku -

2018年11月東京・豪徳寺にオープンした「ketoku」。三軒茶屋の人気ビストロ「uguisu」で10年働いていた松岡悠さんが店主を勤めるお店です。
コンセプトは「気軽な居酒屋」。「居酒屋」と聞くと、軒下に吊るされた赤提灯や、入口に下げられた暖簾などをイメージする方も多いのではないでしょうか。しかしketokuは店内にドライフラワーが吊るされていたり、ナチュラルワインやクラフトビールがあったり、まるでお洒落なビストロのよう。
かと思いきや、肉まんや茶碗蒸しなど予想外なメニューラインナップがあるため「いったいココは何なんだ・・・?」と頭にはてなが浮かんできます。ketokuがなぜこのようなスタイルの居酒屋になったのか松岡さんにお伺いしてきました。

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ketoku店主の松岡悠さん。学生時代建築家を目指して勉強をしつつ、創作居酒屋でバイトをしていたそう。建築家への夢は挫折を経験するも、お客さまのリアクションがダイレクトに伝わることにやりがいや楽しさを感じ、飲食の道へ。

 

 

「ありそうでない」そういう感じにしたい

 

ketokuさんのコンセプトは「気軽な居酒屋」ですが、赤提灯がぶら下がっていたり入口に暖簾がかかっていたり、立ち飲み屋だったりするいわゆる居酒屋とはまた違ったスタイルですよね。

 

自分のわがままというか、あまり考えずに自分が思うリラックスできる環境作りを考えました。ジャンルはあまり気にしなかったというか、〇〇風みたいなのにカテゴリー分けされないように「ありそうでない」そういう感じにしたいと思って作りました。

 

10年間ビストロのお店で働いていて、自身のお店をビストロではなく居酒屋にしたのはどうしてでしょうか?

 

ビストロのお店を開く方は、フランスに留学したり現場を経験していたり、そうじゃなくても日本でずっとフレンチの料理人やサービスマンとして働かれていた方だったりすると思います。でも僕にはそのようなバックボーンがない。

 

みなさん自分のルーツを商売にしているから、自分のルーツってなんだろうって考え始めて。僕のルーツは仕事終わりの居酒屋や出身である秋田なので、それをお店として表現するべきじゃないかとなりました。そうであれば、業態として居酒屋になるのかなっていう感じで決めました。

 

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三軒茶屋の人気ビストロuguisuさんから独立し開業するにあたって、大変だったところはどんなところですか?

 

三軒茶屋にあるお店はどこも真面目にやっていておいしいし、ここが潰れるわけがないと思うようなお店ばっかりでした。それでも閉店しているのを目の当たりにすることが何度もあったので、一客としても寂しいし、真面目にやっていても潰れるのは意味わかんないなと当時はすごく思いました。なので、埋もれないためにどういう風な業態で自分はやっていくのかを考えるのは一番苦労しましたね。

 

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店名の由来は、秋田弁で食べてっていう意味の「け」と、食べるっていう意味の「く」を足した造語だそう。

 

 

考え抜いて決めた、ありそうでないスタイルの居酒屋ketokuさんをどんなお店にしたいですか?

 

このお店を30年やりたいっていう想いがあって。松陰神社に30年やっている、いわゆる街の居酒屋があるんです。カウンター席と小上がりがあって、60過ぎたおじいちゃん店主が1人で切り盛りしている。別に盛り上がるとかではないけど、常連さんがいつもカウンターに並んでいるようなお店で、そんな場所になりたいと思っています。

 

ketokuに30年通ってもらうにはどうしたらいいのかなって考えたときに、日常に寄り添いすぎても刺激が少ないし、かと言って非日常的になってしまうと遠のいてしまう。どっかのルール・常識みたいなのに当てはめるとそれまでになってしまうので、少しずつ意味をずらして「あそこはつまり飲み屋さんね」っていうのになるべくならないようにしました。

 

なるほど。そういった想いがあってドライフラワーやナチュラルワイン・肉まんなどの、いわゆる居酒屋にはない“ズレ”が散りばめられているんですね!

 

日常的なんだけど、どこの世界の日常かよくわからない。あの店は何なんだっていぶかしんでいて欲しいというか(笑)。エンターテイメント性を保っていれば長くお付き合いできるんじゃないかなぁって。お店に行った次の日に、昨日あそこ行ったけどちょっと説明するのめんどくさいなぁみたいな感じの違和感があって欲しいっていう意味でもずらしたっていうのはあります。

 

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「一体何なんだろう」っていう気持ちで座っていて欲しい

 

メニューが独特というか、これはどんな料理なんだろうって想像できないものがいっぱいありますよね。

 

創作料理をしているってよく言われるんですけど、そういったアプローチをしているつもりはなくて、環境に合わせているつもりです。

 

環境に合わせているというのは具体的にどういうことですか?

 

例えばビストロというカテゴリーに当てはめちゃうと、メニューとして出せないものがあったり、ロスが多くなったり、使いたい素材が使えなかったり、すごく大変なんです。ストレスにもなってしまってしんどい。お客さまに「ここは居酒屋なのにレストランみたいな料理出して」みたいなことを言われるよりは、何を出してもいいようにするために「一体何なんだろう」っていう気持ちで座っていて欲しい。そしたらこっちは何をしてもいいという感じですかね(笑)。

 

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鶏レバーとりんご、酒粕のクランブルやふわとろサーモンとカリフラワーピュレざくろなど、名前だけではいぶかしんでしまうメニューが並ぶ。

 

 

制限なく、作りたいものを作りたいという気持ちがあったのですね。

 

単純に小さいお店なので効率の問題もありますけど、原価とかいろいろ考えたときに、フレキシブルにメニュー化できたほうが捨てるよりいいですし作りやすい。イカのゲソだけ余ったら、茹でて和えておつまみにとか、簡単な状態で美味しく提供できるスタンスを得るために、いろんな角度からメニュー化できたらいいよねっていう風にしています。

 

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居酒屋としては珍しい定番メニューである肉まん。取材時の中の具材は羊肉とクミン。

 

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秋田県で古くから飼育されている比内地鶏を使った、比内地鶏のコンフィごぼうのピュレ。その他にも比内地鶏の鶏わさや、秋田に住んでいる叔母様がつくったいぶりがっこなどが日によって振る舞われる。

 

 

クラフトビールやナチュラルワインのラインナップの中に、レトロ感のある「赤星」があるのは“ズレ”の一つですか?

 

そうですね。ファッションとしてというか、赤星って昔ながらの居酒屋の象徴みたいなところがあると思うのでラインナップにいれています。それと、ビストロっぽい料理の横に赤星があってもいいと思うし、おもしろいかなぁっていうのもあります。

 

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正式名は「サッポロラガービール」通称「赤星」。誕生140年を迎え、現存する日本でもっとも歴史あるビールブランド。昔ながらの熱処理ビールで程よい苦味を感じながらも後味がすっとしており、ビール好きに好まれるビールとして愛され続けている。

 

 

たくさんあるお酒のラインナップはどのようにして決めているのでしょうか?

 

今は興味があるものを中心にバリエーションを増やしています。ペアリングなどの組み合わせは一切考えていないです。僕がビール好きなのでビールの種類は他のお酒より多めにご用意があります。クラフトビールはショーケースからセルフで取っていただく想定だったので、ラベルの見栄えがいいものっていうのは1つ頭に入れてセレクトしてますね。

 

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お皿も統一感なくいろいろな種類のものがありますよね。

 

陶器が好きなので、単純に趣味です。特別こだわりや基準はないので、もともとここに置いてあったやつを使っているときもあります。あとは飽きたら嫌だなっていう(笑)。お客さまに提供する際いつもお皿を見ているので、飽きたりするんですよね(笑)。実はuguisuもいろんなお皿がありました。当時は収納が大変だなって思っていたんですけど、いざ自分がお店をやるってなったら同じことをやっていました(笑)。

 

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BGMも意識して選曲されているんですか?

 

どちらかというと、お客さまに違和感を与えたくて。例えば原曲ではなくて誰かがカバーしてる曲を流します。この曲聞いたことあるけどなんか違うなっていう違和感を与えたいんですよね。お店を一人でやっていると話相手ができなかったりするので、だからこそいろいろ気が散る要素を取り入れて考える時間を作って、なるべく暇させないように(笑)。本当は話しかけたりするのがいいと思うんですけど、叶わない場合の方が多いので。あと実は結構人見知りしちゃうので、そういう意味でも僕の代わりに(笑)。

 

料理やお酒、BGMなどいろいろなところにあるいぶかしさが楽しくて、何度でも通いたくなってしまいますね。
最後に、これから30年に向けて挑戦したいことはありますか?

 

実はネット販売とかやってみたいんです(笑)。塩辛の瓶詰めとか肉まんを冷凍にして商品化して販売をしたい。あとは、地域のお祭りに出店したいです。商店街に入るの初めてなので、やり方がわからないのですが(笑)。地域の一員として認知してもらえるように。

 

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