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FEATURE

働く人も”ファンになる”飲食店の作り方(前編)

東京都内を中心に、イタリアン、居酒屋、カフェなど9店舗を運営するダルマプロダクション。「メニューのないイタリアン」など、個性豊かな業態とコンセプトが特徴の飲食店グループです。規模感も料理の見せ方もバラバラですが、共通するのはどのお店でも元気に働くスタッフたち。あたたかく迎えてくれるサービスマンと、オープンキッチンから見えるシェフたちの陽気な笑顔。それに呼応するかのように熱を帯びてくるお客さんたちとの一体感が印象的です。そこで今回は、スタッフがイキイキと働く飲食店のあり方について、創業者でもあり代表を務める古賀さんにお話をお聞きしました。内容は、前編と後編にわけてお届けします。
後編はこちらから

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古賀 慎一(こが しんいち)
1979年佐賀県生まれ、熊本大学理工学部出身。学生時代に飲食業と出会い料理人の道へ。修行で3年間イタリアへ渡り、帰国後にダルマプロダクションを創業し経営者となる。昨年9月に開業した渋谷ストリームでは、33坪の広さを活かしたプロッシュテリア「Petalo」をオープン。イタリアンシェフとしての確かな技術とコンセプチュアルな業態アイデアで、人々を魅了し続けている。

 

 

ダルマプロダクションとは

 

ダルマプロダクションのお店といえば、オステリアウララをはじめとして業態に注目が集まりますが、その業態やコンセプトは毎回どのように作られているのでしょうか?

 

まず、その街に何が必要とされているのか、ということは常に考えています。
この場所に居酒屋やイタリアンを持ってくる意味、その街の人たちにとって何が嬉しいのかですね。それと、常に自分がやりたいと思う業態のアイデアをたくさんストックしているので、そのニーズにどれが一番当てはまるかを考えることで大枠の業態を決めています。

 

▲<オステリアウララ> ダルマプロダクション創業1店舗目、渋谷から少し離れた場所にある”メニューのない”イタリアン。あるのは、毎日変わる食材が書かれた黒板のみ。スタッフと相談しながら、好きな食材でその日の自分だけのメニューを楽しめる人気店。

 

 

系列店の料理のスタイルも全く異なりますが、どのお店も”本場の料理を気軽にお腹いっぱい食べれる”という点が共通しているように感じます。何か意識されていることはあるのでしょうか?

 

飲食店の原理原則として、”おいしいものを出す”、”良いサービスをする”、あと僕たちは食後感と言ってますが、”払った対価に見合ったものかどうか”は大事にしています。商売をする上での原理原則ですね。

あと、日本人に合ってるかどうかも大事です。例えばイタリアンでも、うちは最後にパスタを勧めるケースが多いんです。イタリアンだと前菜食べて、パスタ食べて、メインディッシュになる。この食べ方が日本人には合っていない。やっぱり麺は最後に食べたほうがしっくりくると思います。お客さんは日本人なので、日本人のDNAというか、そこに添った形じゃないと、結局根本的なものが満足されないことが多いです。

 

なるほど、そういった商売や日本人の原理に基づいて業態やコンセプトを考えているんですね。

 

はい、でもやっぱり場所が変われば業態も変わるので、毎回かなり手探りですよ。ただ、その手探りの過程でスタッフが育ったり、自分たちで考えるようになるので。

 

 

 

創業1店舗からキッチンには立たない。人とやることが前提。

 

ちなみに、創業された時からこれぐらい多店舗展開のイメージはあったのでしょうか?

 

いや、なかったですね。でも3店舗は必ずやろうと思っていました。
というのも、創業は僕と二人のパートナー(シェフとサービスマン)の三人でスタートしました。そこで、とりあえず3人とも最低でも50万ずつ給料をとるためにはどうすればいいかを考えた時に、やっぱり一人一店舗は見ないとだめだと考えていたので。ただ、そこから9店舗になったのは特に目指してるわけでもなく、ステージに合わせて増えていったという感じです。

 

 

 

古賀さん自身がシェフであれば、始める時は一人でやるという選択肢もあったかと思います。最初から何人かでやるというのは元々考えとしてあったんでしょうか?

 

はい、それは絶対にそうしようと考えていました。
飲食店は、つまるところ客単価×客数なので、お店の規模によって売上の上限は決まるんです。その中で、例えば小さなお店で自分がキッチンにがっつり入ってしまうと、自分の給料=人件費になりますよね。でもこれをやってしまうといつまでたっても僕の体が空かない。僕が1店舗目立ち上がる時からキッチンに入らなかったのはそこが理由なんです。

2店舗目を探す時には自分の体が空かないとだめで、つまりそれはお店の利益で給料をもらうということ。そこから逆算すると、売上や客数として、やっぱり最低限ウララのような32坪で50席ぐらいはある規模感は必要だと考えていました。そうすればある程度軌道に乗った時に、例えば僕が1日も現場にいなくても、それで考える時間や別で動く時間を確保できます。

 

 

 

そういった考え方はいつ頃からされるようになったのでしょうか?

 

それはもう最初からありました。そもそも飲食の道に入ったのは、もちろん料理が好きというのもありますが、社長になるためというのが大きいので。

自分で自分の人生をコントロールする、例えば好きな時に起きて仕事をして、好きな時に寝てそして好きな時に休むといった、働いていても苦じゃない生き方というのは、自分で何かやらないともらえないものじゃないですか。
そういった自分が望む人生やライフバランスを考えた時に、自分はもう社長になるしかないなと思っていました。好きな料理を作りたいだけだったら料理長どまりでもいいわけですから。

もちろん料理人として、料理をちゃんとつきつめるというのは大事なことなのでイタリアで修行も積みましたが、そこまでやって独立した1店舗でキッチンに立たないコックさんは非常に珍しい。コックである以上、やっぱり独立したら自分の料理をやりたいじゃないですか。でも、その考えは僕には全くなかった。

逆に言うと、自分の好きなお店は55歳ぐらいからやればいいかなと思ってます。性格的に飽き性だから(笑)。だいたい何やっても5年ぐらいで飽きるので、だったら55歳から60歳までやって飽きる方がなんか濃そうじゃないですか? 
そういう自分の性格とか表現したいものを考えると、やっぱりそれだけお金はかかってくるので、1店舗目に小さなお店というのは選択肢としては全くなかったです。

 

 

 

スタッフとは朝まで飲む。でも、現場には口を挟まない。

 

店舗や人が多いとマネジメントも複雑になってくると思います。例えば、一対一で飲みに行くような、密なコミュニケーションは難しくないでしょうか?

 

そうですね、でも結局その辺りのやり方はあまり変わらなくて、やっぱり回数も含めてエネルギーとコストをかけていかないといけないと思っています。ちなみに、昨日の夜もいろんな店舗の若手を集めて朝まで飲んでいました(笑)。

あとは、料理長や店長にも僕が全員を見れない部分を逆に分担してやってもらっています。彼らとは飲みに行く回数自体は減っていますが、元々僕と血を濃く分けている人たちなので、何かあっても話せばわかります。

 

昨年9月渋谷ストリームにオープンした「Petalo」の店長を務める山崎さん(左)とのツーショット。撮影中は冗談が飛び交う和やかな雰囲気に包まれました。

 

 

例えば、スタッフを見ていてもっとこうした方がいいと感じた時に、間にいる店長や上長を飛び越えて直接アドバイスをすることはありますか?

 

飛び越えません。それは絶対ダメと思っています。
直接的なオペレーションや料理に関しては、やっぱりその長にしか言いません。逆に飛び越えて、飲みに行った場で僕が直接話すのは、人間関係だったり、将来の話、あとはどういうことを考えて飲食店の経営をしているかだったり、僕じゃないと話せないこと。現場の具体的なオペレーションに関してはその長が考えてやっていることもあります。そこで頭が2つあっていいことは何もないので。

 

そこはボスとして、やっぱりぐっとこらえるんですね(笑)。

 

ぐっとこらえる(笑)
ぐっとこらえて、あとはなるべくLINEで打つようにしています。そうするとこっちも感情的にならずに言葉を選んで伝えられるんです。もちろん感情に訴えて話さないといけないこともありますが、オペレーションとか仕事の内容というのは本質が一番大事ですから。

 

後編はこちらから